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文学の魔法:ピエール・ルメートルの世界観

先日、「デス・ストランディング」で知られる小島秀夫監督が本屋をめぐる企画について紹介しました。

そのなかで彼がオススメしていた本で印象的だったのが、『死のドレスを花婿に』。

フランス人作家であるピエール・ルメートルの作品です。

彼はその鮮烈な筆致と心に残る物語で文学界に一石を投じています。

本記事では、ピエール・ルメートルの生い立ちや、なぜ彼の作品が人々を引きつけているのか、そして代表作『その女アレックス』に焦点を当ててみましょう。

生い立ち

ピエール・ルメートル(Pierre Lemaitre)は1951年にフランスで誕生。

大人むけの職業教育の場で、おもに「図書館員」を対象に「文学」を教えていました。

そのかたわら、連続テレビドラマの脚本家として活躍します。

そして55歳になった2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作『悲しみのイレーヌ』で小説家デビューをはたします。

同作でフランスのコニャック市ミステリ文学賞ほか、4つのミステリ賞を受賞。

第一次世界大戦をテーマにした6冊目の小説『天国でまた会おう』では、フランスにおいてもっとも権威のある文学賞のひとつである「ゴンクール賞」に選ばれました。

なぜ彼の作品は人々を引きつけているのか

彼の作品が人々を引き付ける要因はさまざまですが、そのなかでも特筆すべきは彼の描写力とキャラクターの深みです。

ルメートルの筆致は独特でありながらも、読者に共感と共鳴を呼びおこす力を秘めています。

彼の創作の秘密は、「印象的な最初と最後のシーンをまず考えること、脇役に至るまで全ての登場人物を魅力的にすること」と、日本での講演会で披露しています。

そんな彼の日常は、「朝から晩まで仕事の職人みたいな毎日です。どこでも集中できるので、タクシーや飛行機での移動中も書きます。書き始めるとずっと物語の中にいて気もそぞろ。しばしば妻に『ねえ聞いてる?』と言われます。」とのこと。

さらに以下のインタビューでは、「私にも2~3のテーマがあります。そのひとつがモラルの問題というか、倫理的な葛藤です。正義だ悪だと単純に断罪できないパラドックスを孕んでいる作品に興味があります」と、作品のテーマについても語ってくれていました。


代表作『その女アレックス』

その女アレックス』はカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第2作目となる作品で、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞を受賞。

日本では「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」ほか、4つのミステリ・ランキングで1位となった化け物コンテンツです。

本作は犯罪小説の傑作としてひろく認知されています。

緻密なプロットと予測不能な展開が読者を引きこみ、最後の一ページまで手放すことはありません。

登場人物たちの心理描写がたくみに織りまぜられ、犯罪というテーマをとおして人間の複雑さにせまっています。

おわりに

世界中の人が熱中する小説を次々と発表し続けるフランス人作家、ピエール・ルメートル。

彼は、独自の文学的なアプローチと深い人間洞察によって、多くの読者を引きつけています。

彼の作品は犯罪小説のわくを超えて人間の心に迫り、文学愛好者だけでなくはばひろい読者に感動と興奮をもたらしています。

彼の今後の作品にも期待が高まります。

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