全て運任せの探偵!?- NETFLIX『私立探偵ダーク・ジェントリー』
探偵モノといえば、「切れ者の主人公」が「他人が気づいていない手がかり」をもとに事件の真相に迫っていくというのが定番の流れだ。
シャーロック・ホームズや、コナン君しかり。
しかし逆転の発想で、「一見無能な主人公」が「手がかりなし」で事件を解決する探偵が誕生した。
その名は「ダーク・ジェントリー」。
主人公のダークは、「全体論的探偵」を名乗っており、ここでいう「全体論的」とは、すべてが最後にはつながるという、「すべて運任せ」のアプローチだ。
ゆえに主人公のダークは、他人から見ると最後の最後までふざけているとしか思えない。
しかし、一見「間抜け」に見えるダークは、最後にはきっちりと事件の真相にたどりつくから痛快だ。
英語タイトルは『Dirk Gently's Holistic Detective Agency』で、原作はダグラス・アダムスの小説。
著者のダグラス・アダムスの代表作は『銀河ヒッチハイク・ガイド』で、イーロン・マスクや、シリコンバレー起業家たちの愛読書といわれるほど、IT起業家から熱狂的な支持を集めている。
主人公ダークの破天荒なキャラクターが楽しめ、ダークの補佐役「トッド」を、イライジャ・ウッド(『ロード・オブ・ザ・リング』フロド役)が快演しており、全エピソード飽きさせない。
NETFLIXではシーズン2まで公開されており、すべて一気見してしまった。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の気の抜けたおバカさと、ナンセンスさが好きな人には是非ともおすすめだ。
本作で面白いと思ったのは、冒頭でもあげた「全体論的(Holistic)」というキーワード。
そんなキーワードにまつわるセリフを紹介する。
個人的にお気に入りのキャラクターは「バート」だ。
「全体論的探偵」を名乗るダークと対照的に、バートは「全体論的あんさつ者」で、いきあたりばったりで人をあやめる。
そんな彼女だが、ムダに人をころしておらず、ころした人は悪党ばかりだ。
バートが、一見普通に見える中年男性をあやめると、その中年男性は、家の地下に少女を監禁している犯罪者だったりと、彼女のころしは「神の意思」と言われている。
武器を持った複数の相手に囲まれても、「神の意思」によってか、彼女には傷一つつかない。
そんな彼女は、法律で裁けない悪党を退治する、ダークヒーロー的存在だ。
彼女の「全体論的なセリフ」を以下にまとめる。
全体論とは「運」に似ているもののように思える。
世の中で「成功」と呼ばれているものは、タイミングや、出会った人やものなど、「運」の影響が大きいと言われるが、あらためて「運」とは何かについて考えさせられる作品だった。
たまには、いきあたりばったりに無計画に行動することも大切だと思わされる。