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レビュー『らくがきファイナンス 人生で損しない選択をするためのお金の知識 』

ものごとを図解している本に興味をもっています。

本書を手に取ったのは、一見難しそうな「ファイナンス」に関して、いかに図解しているのかを知るため。

以下の目次のように、幅広いトピックに対してポイントをおさえて解説しており、まさにファイナンスの「まとめノート」という趣で、経済・金融・財政の基礎的事項がよくまとまっています。

第1章 お金の基本を身につける
第2章 信用をつくる
第3章 投資する
第4章 老後を考える
第5章 株式市場に乗りこむ
第6章 税金を払う
第7章 起業する
第8章 経済を学ぶ
第9章 財務諸表を読む
第10章 未来のお金を知る
第11章 人に差をつける

基本的にはアメリカの事情について解説しており、日本にはそのまま当てはまらない記述もありますが、アメリカのファイナンスの考え方を知りたいかたや、将来アメリカへ留学や駐在、移住を予定されている方におすすめです。

毎月のつかうお金の比率

一番参考になったのは「月々の予算の目安」で、毎月使うお金の、望ましい比率を知ることができます。

まずは、医療、食物、住居といった「生活に必要なもの」が50%

次に、外食、休暇、ショッピングといった「欲しいもの」に30%

最後に、貯蓄といった「経済的自由」のために20%

さらに、貯蓄で蓄えたお金は「緊急用資金」としても確保しておくことが重要と述べています。

「緊急用」とは、失業した時、車が壊れた時、急病の時をさしており、その資金の目安としては3ヶ月から6ヶ月分の生活費の合計額

なんと、アメリカ人の5人に2人は、予定外の400ドルの請求書が来たら払えないという状況にあるとのことで、いかに緊急用資金が重要かがわかります。

72の法則の発見者

「72の法則」というのをご存じでしょうか。

それは、投資する際に、金利の複利効果によって、「元本を2倍にする」ために必要な、「だいたいの投資期間」を求めるための法則のこと。

たとえば、元本100万円年利1%で運用した場合、2倍の200万円にするのには、約72年(= 72 ÷ 1)の投資期間がかかります。
年利3%で運用した場合は、約24年(を= 72 ÷ 3)ですみます。

本書を読んで、この「72の法則」を見つけたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの友人であるイタリアの数学者、ルカ・パチョーリが1400年代後半に発見したということを初めて知りました。

パチョーリは近代会計学の父とも言われており、複式簿記の発明者でもあります。

おわりに

著者はハーバードビジネススクールのMBAに進学し、授業に苦労した経験から、学習のために紙ナプキンにイラストを描き、金融の仕組みなどを理解していきました。

その成果が本書で、1トピック1枚のイラストで学ぶお金の教養ガイド。

お金の基本から、株式、起業の仕方、インフレ、ブロックチェーン、財務諸表、ゲーム理論と、大人が身に着けておくべき「金融リテラシー」をイラストで分かりやすく学ぶことができます。

トピックが幅広いので、ファイナンスの全体像をざっと知りたい方に向いています。


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