試験観察と保釈
保釈からの逃亡騒動続いてますが、僕は、保釈に関して特別なことをした経験もないし、逃げられた経験もなくて、ふと思い出したのが、少年事件の試験観察の案件。少年事件の審判は、だいたい少年院送致か、保護観察かと言う状況になっていることが多いのですが、例外的に、中間的な処分として、概ね1か月外に出して、生活状況見て再度審判行うという試験観察というパターンがあります。そこまでの鑑別所収容で半生は見られるんだけど、実際外に出て、元の木阿弥になるのが懸念される一方、少年院に送ることで解決できる十いう非行でもない、というややこしいパターンと言うわけです。
やってみればいいじゃないか、と思うかもしれませんが、これで逃げられるという可能性もあるわけで、保釈と違って、保証金積むのでもないし。
そのケース、事件の内容は忘れたし、ここに書くのも適切ではないのでしょうが、ともかく、僕がメインで担当していた案件でなく(自慢話ではありません。)、少年付添人研修の指導担当弁護士のような形で、新人さんをサポートしていただけです。確か、事前に出ていた家裁調査官の意見も少年院送致で、審判も「しっかり反省してやり直してきなさい」という空気で一方的に進んだ記憶です。
しかし、あきらめなかった新人弁護士は、「何とか試験観察にできないでしょうか」と食い下がる。僕は7年目くらいだったかと思いますが、もう基本的に冷めてしまっていて、なにを言っても無駄な雰囲気なんですよね。新人だからできる技。そこで、裁判官が「逃げられて、再犯でもされたら、被害者に申し訳ない」とポロリ。新人弁護士は「毎日電話して、逃げないように話をします」と。
普通、試験観察中でも週に一度連絡とるかどうかだと思うのですが、この新人弁護士は、「毎日電話する」と明確に約束したわけです。僕は、できるなら構わないけどね、という顔をしているしかありません。「せっかく二人付添人付いてますから、連絡に関しては、私もできる限りサポートします」と、空気を読んだ発言をしたり。
決まり切った審判よりも長い、少年の身柄を引いてからの付添人と裁判官、調査官の押し問答の末、なんと、試験観察になり、新人弁護士は、毎日電話をしないといけない羽目に。
したたかな先輩弁護士は「電話をかけるのはもちろん、記録を残しておくように」とアドバイス。弁護士が約束したことを果たした上で、逃げたのなら、それはもうこちらの責任ではないし、そこまでの信頼関係があるわけでもないし、やるべきことを果たした、というラインはやっぱり大事かと。やっぱり、醒めてたかな。
僕はその間、二度ほど、電話して、結局無事に最終審判で保護観察という案件でした。