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著者の茂木祐介弁護士(弁護士法人グレイス 家事部)にモラハラのこと、詳しく聞いてみました!/モラハラ離婚のトリセツVol.10

他人の目が入りにくい家庭で横行する“モラハラ”。

「誰のおかげで生活できると思ってんの?」
「頭ワル」
「家事はお前の仕事だろ」

などと、心ない声をかけられるたびに「離婚」がよぎっても、

「まだ我慢できる……」
「うちの旦那は、そこまでじゃないから……」
「離婚を切り出したら、余計に怒られそう……」

などと、自分に言い聞かせ、なかなか踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回、2023年12月発刊『「夫がこわい」を卒業したいあなたの モラハラ離婚のトリセツ』の出版を記念して、著者の 弁護士法人グレイス 家事部所属の茂木祐介弁護士にモラハラのことや、本書に込めた想いをインタビューしました。

―――茂木先生、今回はご執筆をありがとうございました。本書の編集をとおして、モラハラがいかに根深い問題なのか、よくわかりました。

茂木弁護士 そうですね。「モラハラ」と略称するとなんとなく可愛げがあり、冗談のようにも響きますが、現実のモラル・ハラスメントは、被害者の心に深い傷を負わせる残酷な問題です。

私たちは、モラハラに関する多くの法律相談を受けるなかで、さまざまなケースと遭遇してきましたが、モラハラには、加害者側に加害の意識が薄く、被害者の方も「しかたがない」「自分が悪い」とその状況を受け入れてしまう傾向があると気がつきました。

このような歪んだ関係は、時間とともに深刻化し、やがて抜け出せない状態にまで陥ってしまうのだと思っています。

―――モラハラをしてしまうような人には、なにか特徴があるのしょうか?

茂木弁護士 特徴としては、社会的に一定の地位や職業についていて、職場でも部下や顧客等に指示・指導する立場である、ということが多いと思います。職場での優越的地位を無意識に家庭に持ち込んでしまうのです。

また、世間一般の男性よりも比較的収入が高く、自分が妻や家族を養っているとか、養ってやっている!という感覚が強い方が多いように見受けられます。

―――モラハラから逃れたいと相談に訪れる方には、どのようなアドバイスをされていますか?

茂木弁護士 モラハラで離婚をされる場合、重要なのは「証拠集め」です。証拠は、別居したあとでは収集が難しいため、別居前の準備が極めて重要になります。

そのため、相談しようか悩んでいる方や、離婚に踏み切れないという方にも、別居前に、できるだけ早く法律の専門家に相談に来ていただきたいと思っています。

相談に来ていただいた際には、どんなものが証拠になりうるか、どれだけ証拠を集められそうか、相談しながら離婚の準備を進めていき、別居後は、速やかに婚姻費用分担請求や子の監護者指定等、適切なアクションをとっていくことになります。

―――弁護士法人グレイスは、なぜモラハラに力を入れるようになったのでしょうか? 読者へのメッセージもあわせて、お聞かせください。

茂木弁護士 私たちが家庭内でのモラハラ問題に力を入れるようになったのは、「〇〇ハラスメント」という言葉が社会的に流行した2019年頃からでした。

本にも書いたとおり、モラハラは、単なる嫌がらせの問題ではなく、その嫌がらせが「隠蔽されやすい」という点こそが、むしろモラハラの本質だと考えます。

● 配偶者のモラハラに悩んでいる方は大勢いるのに、モラハラ被害は概して周囲に認知されにくい。

● モラハラの苦しみは非常に大きいのに、第三者に認知されず、周囲の理解が得られず、被害から抜け出せない。

私たちは、このような周囲に気づいてもらえない悩み、本人にしかわからない苦しみに光をあて、その方の孤独を理解し力になりたいと思い、モラハラ問題に取り組んできました。

さいごになりますが、この本が、家庭内のモラハラでお悩みの方にとって、少しでも助けになることを願っています。

―――ありがとうございました!



『「「夫がこわい」を卒業したいあなたの モラハラ離婚のトリセツ』
弁護士法人グレイス家事部/著
判型 四六判・184ページ

弁護士法人グレイス家事部
弁護士法人グレイスは、「家事部」「企業法務部」「事故・傷害部」という分野特化の事業部を擁し、特定の分野に集中して、問題解決に取り組む。 「家事部」では、離婚をはじめ、親権・監護・養育費、財産分与、不倫慰謝料請求、相続・相続放棄、遺言など、家庭に関する各種法律問題を幅広く取り扱う。 年間1,000人の離婚相談に対応し、夫婦・親子に関する法律問題に関する豊富な知識と経験を持つ。



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