鍼灸大成 巻一 鍼灸直指 鳳凰堂流解釈㉑
原文
刺腰痛論
黃帝問曰:腰痛起於何脈。刺之奈何?
岐伯曰:足太陽脈令人腰痛,引項脊尻背如重狀;刺其 中太陽正經出血,春無見血。
少陽令人腰痛,如以針刺其皮中,循循然不可以俯仰,不可以顧。刺少陽成骨之端出血,成骨在膝外廉之骨獨起者,夏無見血。
陽明令人腰痛,不可以顧,顧如有見者,善悲;刺陽明於 前三 ,上下和之出血,秋無見血即三里穴。
足少陰令人腰痛,痛引脊內廉。刺少陰於內踝上二 ,冬無見血,出血太多,不可復也即複溜穴,針三分,灸五壯。
厥陰之脈令人腰痛,腰中如張弓弩弦,刺厥陰之脈,在踵魚腹之外,循之累累然,乃刺之蠡溝針二分,灸三壯。其病令人善言嘿嘿然不慧,刺之三 一云無善字。
鳳凰堂流意訳
黃帝は尋ねた。腰痛はどの経脈の異常で起こるのか、刺法はどうなっているのか。
岐伯は答えた。足太陽脈によって起こる腰痛では、項脊尻背が重く感じられます。このような場合は太陽正経から血を出しますが、春は血を出してはいけません。
少陽脈による腰痛は針で皮膚を刺されたような痛みで、前後の動き、回旋の動きができなくなります。このような場合は陽陵泉から出血させますが、夏は血を出してはいけません。
陽明脈による腰痛は回旋ができなくなりますが、回旋ができるような人はマイナス思考になっている事が多いです。このような場合は、足陽明の三里、上巨虚、下巨虚のバランスを取るように出血させます。秋であれば足三里穴から血を出してはいけません。
足少陰脈による腰痛は痛みが背中の内側に引っ張られた感じがする。このような場合は足少陰の內踝上約6cm程のところ。冬は血を出さないようにする。出血が多すぎると回復できない事から複溜穴とされる。針三分,灸五壯。
厥陰脈による腰痛は腰中が弓を張った弩弦のようになっている。このような場合は厥陰の脈で踵魚腹の外、蠡溝に針二分,灸三壯。この病になると沈黙し無言となる。その場合蠡溝に三度針する。
鳳凰堂流解釈
三陽(太陽、陽明、少陽)と厥陰の異常による腰痛の解説。