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養生訓 巻第三 飲食上 鳳凰堂流解釈⑪
原文を現代文に改変
飯はよく人を養い、又よく人を害す。
故に飯は殊に多食すべからず。
常に食して宜しき分量を定むべし。
名を多く食らえば、脾胃を破り元氣を塞ぐ。
他の食の過ぎたるより、飯の過ぎたるは消化しがたくして大いに害あり。
客となりて、主心を用いて設けたる品味を箸を下さざれば、主人の盛意を空しくするも快からずとは思はば、飯を常の時より半減して、飣の品味を少しずつ食すべし。
この如くすれば飣多けれど食に破られず。
飯を常の如く食して、又魚鳥などの飣數品多く食らえば必ず破らる。
飯後に又茶菓子とて餻餌(もちだんご)など食らい、或いは後段とて麺類など食すれば、飽満して氣を塞ぎ、食に破らる。これ常の分量に過ぐればなり。
茶菓子後段は分外の食なり。少食して可なり。過すべからず。もし食後に小食せんと思わば、兼ねて飯を減ずべし。
鳳凰堂流意訳
米飯はよく人を養い、又よく人を害す。
従って米飯は特に多食しないように気をつける。
常に食べてよい分量を定めておく。
多く食べると、脾胃を破り元氣を塞ぐ。
他のものの食べ過ぎより、米飯の食べ過ぎ消化に悪く大いに害がある。
客として、主人が心を尽くして設けた品味に箸を下す場合、主人の誠意を空しくするのも良くないと思うのであれば、米飯をいつもの半分にして副菜を少しずつ食べれば良い。
このようにすれば副菜が多くても食に破られる事はない。
米飯をいつものように食べ、又魚鳥などの副菜を多く食べれば必ず破られる。
米飯後に又茶菓子として餻餌(もちだんご)など食べたり、或いは麺類など食べると飽満して氣を塞ぎ、食に破られる。これは通常の分量により多すぎるからである。
茶菓子は分量外の食であり、少食であれば良いが、過食してはいけない。もし食後に少し食べようと思うのであれば、米飯を減らすべきである。
鳳凰堂流解釈
少食、特に米の適度な量を考える事の重要性を説いています。
中医学、東洋医学では五穀として
麦、黍、稷、稲、豆と分類しており、
米(稲)は肺と相応しますが、これを相生相剋で考える前に、
先ずは過食を戒めるべきだと言っています。
そして、養生訓の主旨からすると、副菜として豆類をできるだけ摂取する方が良い(過食はどちらにしても厳禁)と鳳凰堂は考えています。