医心方 巻二十七 養生篇 居處第十 鳳凰堂流解釈
養生篇第十は住むところに関して。
この時代は、気候や自然現象の影響を身体で感じる人も多かった為、様々な注意点を示しています。
現代ではそれらを家がしっかりとブロックしてくれているようですが、実際には大きな外気に包まれていることには変わりなく、顕在意識で感じなくとも身体や心は感じているので、軽々しく扱わず少しでも気になることは実行しておくに越したことはありません。
養生要集からの引用
「河圖帝視萌が言っているのは、天地の原理に逆らうのは凶である。天の日月の運行に従うのは良い。春夏には山の高いところで楽しみ、秋冬には標高の低いところで、深く隠れるように住む。こうすれば利益があり、福が多く、老いても寿命に極まりがないようになる。」
千金方からの引用
「住居はキラキラと着飾ったり、華美なものにならないようにすべきである。こうすると、人を貪欲にし、志を損なう。ただ質素で、そして清潔にして雨風や暑さ、湿気から身体を守る事ができれば充分なのである。」
又
「人の部屋は必ず周りがピッタリと閉ざせるようにし、細い隙間もないようにする。すきま風が入ってきていると、長い間を経て中風になる。(中風については巻三の第十〜第二十三まで参照。)」
又
「室内に風が入っているのを感じたら、我慢して長い間坐っていてはいけない。必ず立って風を避けること。」
又
「生け垣の北にベッドを敷いてはいけない。生け垣に面して長い間、考え事をしてはいけない。良くないことが起こる。」
又
「ベッドに昇る時には、先ず左足の屨を脱げ。」
又
「家にいる時や外出中に急につむじ風や暴風雨、濃霧に出会うのは、全て龍やあ鬼神の行動によるもので、それが通り過ぎているのである。そんな時は室内に籠もってよく戸を閉ざし、香を焚いて静座し、心を安らかにしてこれを避け、過ぎ去るのを待って、その後に戸外へ出る事。そうしないと怪我をしたり、或いはその時は何事もなくても後で良くないことがある。」
又云う
「家の中に経典や神の像があれば、そこへ行ってまず、それを拝み、その後に目上の人に挨拶するようにすべきである。」
又云う
「神廟の前を通るときには、身を慎み、軽々しく入らないようにすること。入ったら恭しく敬い、見回したりしてはならない。厳めしい君主に対するように振る舞うこと。そうすれば幸せを授かる。」
延壽赤書に云う
「寝床はできるだけ高くすること。高ければ地の気が身体にまで届かず、鬼がすったり犯したりしない。鬼の気が人を侵す場合は、いつも地面から上に向かって入ってくるからである。」