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(1)医心方 巻二十七 養生篇 用氣第四 鳳凰堂流解釈
養生篇第四は用氣。
氣を用いる事に関しての養生です。
養形の最後でも、汗と二便による気の漏出等について書かれていましたが、
これは大體第一に書かれていた抱朴子から引用した内容そのままです。
身体を1つの国として考えてみましょうと言っています。
更に具体的に書くと、
胸や腹は王宮、手足は城市の外壁、骨や関節は役人として考えます。
こうして考える事で、自分の身体、自分が住む国の事を重ねて考える事ができ、
またどうやってバランスを取っていけば良いのかを熟慮するきっかけになります。
現代では、自分の家とその中に住む人
自分の家と自分の周囲の自治体や自分が所属する団体と考えても良いと思います。
熟慮できる人は災害が起こる前にその具体的な対策や行動を規定しているからこそ、
災害が起きにくく、起きても直ぐに対処できます。
普段は分からない事ですが、いざという時に備えあれば憂いなしという事ですね。
これを人の身体に当てはめると、しっかりと養生することが如何に病を生じないようにすることかが理解できると思います。
そして、終わったことには拘らない。往くものは追わず(孟子「尽心篇下」)という事も言われています。
国では住民、家では中に住む人は、養う事が難しく、危険に近づきやすい。
気は絶えず清濁合わさっている為、清らかに保つ事が難しく、濁るのは容易い。
従って王の威徳(それぞれの人の志と本質的な欲求)を明らかにすることで、国の安泰を保ちます。
人では心の安泰を保つ事で身体の安泰を保ちます。
それには、先ず欲望のプライオリティを明らかにして減らす事が分かりやすいのです。
決して欲望をなくすわけではありません。
万物の根源の真理を理解した上で、天地人の三位一体となる調和を守りながら、害となるものを退けて行けば天寿を延ばすことができると書かれています。
そして、天寿を延ばすのはあくまで身体、形の話。
その先、その奥に心があり、そちらの方が大切な事も忘れずに。