鍼灸大成 巻一 鍼灸直指 鳳凰堂流解釈⑭
原文
肺瘧者,令人心寒,寒甚熱,熱間善驚,如有所見者,刺手太陰、陽明列缺針三分,灸五壯;合谷針三分,灸三壯。
心瘧者,令人煩心甚,欲得清水,反寒多,不甚熱,刺手少陰神門針三分,灸可三壯。
肝瘧者,令人色蒼蒼然,太息,其狀若死者,刺足厥陰見血中封針四分,灸可三壯。
脾瘧者,令人寒,腹中痛,熱則腸中鳴,鳴已汗出,刺足太陰商丘針三分,灸可三壯
腎瘧者,令人灑灑然,腰脊痛宛轉,大便難,目 然,手足寒,刺足太陽、少陰足太陽金門,足少陰太溪。
胃瘧者,令人且病也,善飢而不能食,食而支滿腹大,刺足陽明、太陰橫脈出血厲兌針一分,灸一壯;解谿針五分,灸二壯;三里針一寸,灸三壯;太陰橫脈,在內踝前,斜過大脈宜出血。
鳳凰堂流意訳
肺瘧は心が冷えた感覚がし、冷えが極まると熱を感じる。熱があると驚きやすく、どこかを見ているような場合は、手太陰、陽明、とりわけ列缺に針三分,灸五壯。合谷に針三分,灸三壯。
心瘧は心煩が酷く、飲水したがり、それによって逆に冷えが多くなる。熱が酷くなければ手少陰の神門に針三分,灸可三壯。
肝瘧は顔が青く、良く大きなため息をし、死にそうな様態であれば、足厥陰の中封に針四分刺して出血させる。灸であれば三壯。
脾瘧は冷えを感じ、腹中が痛む。熱が生じれば腸中が鳴り、鳴りやむと汗が出る。
このような場合は、足太陰の商丘に針三分,灸可三壯
腎瘧はさっぱりとした姿ではあるが、腰脊が微妙に痛み、大便難。目がボーッとして手足が冷えている。このような場合は足太陽、少陰に刺す。足太陽は金門、足少陰は太溪。
胃瘧は病ではないように見えるが、お腹が空いても食べ物が入らず、食べると使えて腹が膨れる。このような場合は、足陽明、太陰の橫脈から血を出す。
具体的には
厲兌に針一分、灸一壯。
解谿に針五分、灸二壯。
三里に針一寸、灸三壯。等。
太陰の橫脈は內踝の前で大きな脈が斜めに通っているところから血を出すと良い。
鳳凰堂流解釈
瘧に対する大まかな診断、治療について書かれています。
胃瘧は、急性症状も含まれている為、太陰経の横脈(恐らく商丘穴のやや上方)から泻血する方法は覚えておいて良いかと考えられます。