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養生訓 巻第三 飲食上 鳳凰堂流解釈⑯

原文を現代文に改変
酒食を過したたりをなすに、酒食を消すつよき藥を用いざれば、酒食を消化しがたし。

たとえば敵、わが領内に乱入し、あだをなして城郭を攻め破らんとす。

こなたよりも強兵を出して防戦せしめ、わが士卒多く打ち死にせざれば敵に勝ち難し。

藥を用いて食を消化するは、これわが腹中を以て敵身方の戦場とするなり。

飲食する所の酒食、敵となりて、わが腹中をせめ破るのみならず、吾が用ゆる所のつよき藥も、皆病を攻めれば元氣も減る。

敵兵も身方の兵も、わが腹中に入り乱れ戦って元氣を損じやぶる事甚だし。

敵をわが領内に引き入れて戦わんより、外に防ぎて内に入れざらんにはしかじ。

酒食を過さずしてひかえば、敵とはなるべからず。つよき藥を用いてわが腹中を敵身方の合戦場とするは、胃の気を損ないて、うらめし。

鳳凰堂流意訳
酒や食を入れすぎて身体に変調を来した場合、酒や食を消すような強い薬を服用しなければ消化は中々できない。

これを喩えると、敵が自分の領内に乱入し、攻撃して城郭を攻め破ろうとしているようなもので、

こちらも強兵を出して防戦させ、自分の持っている兵士が多く打ち死にしなければ敵に勝つ事が難しいような状況である。

薬を服用して食を消化するのは、自分の腹中を戦場とするようなものである。

飲食した酒食が敵となり、自分の腹中を攻め破ろうとしているだけでなく、自分が服用した強い薬も、全て自分の身体の弱い部分を攻めるので元氣も減る。

敵兵も味方の兵も、自分の腹中で入り乱れ戦っているので元氣を損ない健康な部位にまで非常に負担がかかる。

敵を自分の領内に引き入れて戦うより、外で防ぎ、体内に入れないようにする方が遥かに効率が良く負担も少ない。

酒食を入れ過ぎずして控えれば、酒食が敵となることはない。

強い薬を服用して自分の腹中を敵味方の合戦場とすれば、胃の気を損ない、後顧の憂いとなる。

鳳凰堂流解釈
1、飲食の欲をどれくらい制御できるか

2、効果が高い薬は身体へのダメージも高い

今回はこの2点について強調して説明しています。

一見良いもののように見え、必要なもののように感じても、全て過不足のバランスを考える必要があり、

やり過ぎればそれが当たり前になって、次には更にやり過ぎる事になる。

未来数年、数十年後まで考えて行動する事の重要性を考えさせられます。

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