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(1)医心方 巻二十七 養生篇 雑禁第十一① 鳳凰堂流解釈


養生篇の最後は養生における諸々の禁止事項について。

長いので3つに分けます。

禁止事項なので、厳しい口調で書かれていますが、今まで気にせずやってきた人が急に陰陽転化すると、心身は驚き、そこにマイナス思考が加わりやすくなりますので、あくまでも参考まで。

 他の養生書にも細やかな禁止事項の記載がありますが、本来日本人が一年の節目節目に行ってきた事が微に入り細に渡って書かれているように感じます。

 現代では、失われゆく感覚とこのような養生の習慣、全てはできなくても、少しずつでも実践できると自分の養生だけではなく、日本に住んで身体と心を適応させている伝統の継承にもなるのではないでしょうか。

最後の訳文は長い事と、書き下し文でも充分に理解できる為、割愛させていただきますが、日常生活に少しでも取り入れていただければ幸いです。

養生要集からの引用
神仙図には精を妄りに出すな、命を削る。

大食するな、あらゆる脈が閉じる。

大息(溜息)するな、精漏泄する。

長い時間立ちっぱなしになるな。神が疲れ極まる。

温め過ぎるな。髄骨が消耗する。

大飲するな。膀胱が収縮して硬くなる。

長く寝過ぎるな。精気が滞る。

冷やし過ぎるな。肌肉を損なう。

長い間見るな。目がただれる。

長い間喋るな。舌が枯竭する。

長い間座るな。氣が逆上する。

熱過ぎるものを食べるな。五氣を損なう。

咳唾するな。肥汁を失う。

恚怒するな。神楽しまず。

多眠するな。神が放逸する。

冷たいものを食べるな。病が結ぶ。

涕を出すな。気が渋り潰れる。

大喜するな。神が出て行く。

遠視するな。神氣勞す。

長い時間音を聴くな。聡明閉ず。

生ものを食するなかれ、腸胃を害す。

噭呼(きょうこ・叫んで呼ぶ)な。魂魄を驚かす。

遠行するな。筋骨を勞す。

長い間考えるな。志がぼやける。

酒に酔うな。生氣を傷なう。

哭泣するな。神悲感す。

五味するな。腸胃を破る。

長い間跨がる乗り物に乗るな。騎るな、経絡を損なう。

以上の二十八禁は天道が忌むところ、

この忌を避けなければ、道を行っても益はなし。



中経からの引用
狩りや漁で上手く行き、喜び大いに叫ぶと、臓の氣が絶し、或いはただちに悪くなる者あり。当時分からなくとも一年、二年の後、病を発し、良医も治せないようになる。

抱朴子からの引用
才能が及ばないところを苦しみ思うは傷つく。力で勝てない所を、強引にやれば傷つくのと同じ。

深憂、重恚は傷つく。

悲哀、憔悴は傷つく。

喜楽が過ぎれば傷つく。

欲を求め過ぎると傷つく。

憂い悲しみ過ぎると傷つく。

長い時間のおしゃべり、談笑は傷つく。

寝息時を失するは傷つく。

弓を引き弩を引くのは傷つく。

泥醉、嘔吐は傷つく。

飽食してすぐに横になるのは傷つく。

飛び跳ね、息をゼーゼーと言わせるような行動は傷つく。

喚呼、哭泣は傷つく。

陰陽交わらざるは傷つく。

これらの傷が積み重なり尽くせば、早く亡ぶ、早く亡ぶは道に非ざるなり。


或る人が言う事に敢えて問う、

長生を修めようとする道が禁忌とするところは、身体だけを見て心を見ていないのではないかと。

鳳凰堂流は、どちらも大切に考えています。神は死んでも散るだけですが、身体は凡そ100年。この短い時間を持たせる為に厳しく禁忌を伝えていますが、

生きている間は、赦す心と極める心のバランスが1番重要だと思います。

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