老子道徳経と中医学的身体観⑧

易性第八と言う副題

中医学的身体観から言うと、

捨己従人（しゃきじゅうじん）

己を捨てて人に従う

陰主陽従（いんしゅようじゅう）

身体は陰、意識（気）は陽

常に変化できるのが水のような身体であり、水のような心。

性質を変化させやすくしておくのが、易性と考えています。

昨日行った身体の使い方では、身体の使い方を通して、心や意識に向き合い、自由にする。

身体の力みを取ることで心や思考の自由度を上げる。

先天八卦では一が水を生み、二が火を生み、、、となっています。

無極から太極、太極という大きな枠組みの中で先ず何が必要かという事を説いていると考えています。

つまり、先ずは水のような心であり、仁心。それが太極の始めであり、ここから始まってここへ戻ってくると。

そして水のような心、仁愛の心から、火のような志、目的意識へと流れるように動く事。これが太極の始めであり、ここからまた巡り、巡ってここに戻ってくる。

太極とは何か？無極とは何か？を考察し、検証する中で、四象、五行、八卦、九宮と巡り、また無極、太極へ輪廻する。

思考の方法、感覚と思考の擦り合わせは演繹法（えんえき）と帰納法による一致が必要で、常に双方向性と流れというものがある事を教えてくれています。

イメージとしては水。冷静にあらゆる状況で、異なる太極も認められる大きな視点。過去を客観的に観る視点です。


鳳凰堂流意訳

最上の善とは水のようなものである。

水はあらゆるものに有益で、調和し、誰しも嫌がるような低いところにいる。

従って、その状況自体が道というものに近く、今いる場所を良しとして、淵のように深い所にまで心を落とし、人に対しては仁愛の親しみを以て接し、誠実な事だけを口に出し、筋道正しく関係性を構築し、流れるように物事を解決し、行動はその時々の利に叶っている。

そしてそれは争いの中の調和ではなく、ただただ無意識に調和している姿なのでどこかから悪意が来る事もない。
 

鳳凰堂流直訳

上善水の如し。

水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に処す。故に道に幾かし。

善地に処し、善淵に心し、善仁に与し、善信に言い、善治を正し、善能を事とし、善時に動く。それただ争わず、故に尤なし。

原文
上善若水。水善利万物而不争、処衆人之所惡。故幾於道。所善地、心善淵、与善仁、言善信、正善治、事善能、動善時。
夫唯不争、故無尤。
 
何事も無理やり起こすものではなく、時と縁と誠実さによって、行う行動が全てを調和する良い行動となる（本質的な誠実さ）。これを表現しようとすると「水」のようなものだと言え、法則性が順当に行われている事の証拠となる。