養生訓巻第二総論下 鳳凰堂流解釈㉝
原文を現代文に改変
養生の要は、自ら欺くことを戒めて、良く忍ぶにあり。自ら欺くとは我が心に既に悪しきと知れる事を嫌わずしてするを云う。悪しきと知りてするは、惡を嫌う事眞實ならず。これ自ら欺くなり。欺くとは真実ならざるなり。食の一事を以て言わば、多く食らうが悪しきと知れども、悪しきを嫌う心実ならざれば多く食らう。これ自ら欺くなり。その餘事も皆これを以て知るべし。
鳳凰堂流意訳
養生の要は、自分自身の心と身体の声を欺(あざむ)くことを戒め、良く忍ぶ事にある。
自分の心ができないと思ってしまっている事を厭(いと)わずにやることを言う。
できないと思ってしまっている事をするのは、できないからしないと言う事前の防御の心を破る事であり、これが本来の心の声、身体の声となります。
飲食で表現するなら、たくさん食べるのは身体に良くないだけでなく、胃に熱がある事を示唆していますが、悪い事だからこそ、表面の心や感情、本能に隙があるとたくさん食べてしまいます。これが自分自身を欺く事です。
その他の事も全て同じように考えます。
鳳凰堂流解釈
東洋医学は心、身体、症状や変化を繋(つな)ぎ合わせて考えます。
ここは貝原益軒が見事に繋ぎ合わせている文章です。
自分自身を客観視する際に、表向きの自分と本来の自分を区別して考える必要性を語っています。