養生訓 巻第七 用薬 鳳凰堂流解釈⑳
原文を現代文に改変
大人の利薬を煎ずるに、水をはかる盞に水を入るる事、大抵五十五匁より六十匁に至るべし。これ盞の重さを除きて水の重さなり。一服の大小に随って水を増減すべし。
利藥は一服に水一盞半入れて薪を焚き、或いはかたき炭を多く焚きて、武火を以て一盞に煎じ、一盞を二度に分かち、一度に半盞服すべし。滓は捨つべし。二度煎ずべからず。
病つよくば、一日一夜に二服、猶其上にいたるべし。大熱ありて渇する病には、其宜に随って多く用ゆべし。
補藥を煎ずるには、一盞に水を入る事盞の重さを除き、水の重さ五十匁より五十五匁に至る。これ又一服の大小に随いて水を増減すべし。虚人の藥小服なるには、水五十匁入る盞を用ゆべし。
壮人の藥大服なるには水五十五匁入る盞を用ゆべし。一服に水二盞入れて、消し炭を用い、文火にてゆるやかにせんじつめて一盞とし、かすには水一盞いれて半盞に煎じ、前後合わせて一盞半となるを、少しずつ支かえざるように、空腹に三四度に熱服す。
補湯は一日に一服、若し支えやすき人は、人により朝夕はのみがたし。晝間二度のむ。短日は二度は支えて服しがたき人あり、病人によるべし。
支えざる人には朝夕晝間一日に一服、猶其上も服すべし。食滞あらば補湯のむべからず。食滞めぐりて後のむべし。
鳳凰堂流意訳
成人のの利薬を煎じる際には、水をはかる杯に水を入れる時に大体、五十五匁から六十匁にする。
これは杯の重さを除いた水の重さ。
一服の大小に随って水を増減する。
利薬は一服に水一杯半入れて薪を焚き、或いはかたい炭を多く焚き、武火で一杯に煎じ、一杯を二度に分け、一度に半杯服用する。滓は捨てる。二度煎じてはいけない。
病勢が強ければ、一日一夜に二服、またはそれ以上にする。
大熱があり口渇する病には、その人によって多く用いる。
補薬を煎じる際には、一杯に水を入れる時に杯のの重さを除き、水の重さ五十匁から五十五匁にする。これも一服の大小に随って水を増減する。
身体が弱い人の薬で小服の場合は、水五十匁入る杯を用いる。
身体が強い人の薬で大服の場合には水五十五匁が入る杯を用いる。一服に水二杯を入れて、消し炭を用い、文火でゆるやかに煎じつめてて一杯とし、かすには水一杯いれて半杯に煎じ、前後合わせて一杯半となるのを、少しずつ支かえないように、空腹に三四度に熱い状態で服用する。
補湯は一日に一服、もし支えやすい人は、人により朝夕はのみにくいので昼間二度のむ。
短日は二度は支えて服用しにくい人がいる、病人による。
支えない人には朝夕昼間一日に一服、尚それ以上も服用して良い。食滞があれば補湯を飲んではいけない。食滞がめぐった後のむ。
鳳凰堂流解釈
具体的な煎じ方と服用法について書かれています。
生薬が手に入る人は煎じてみるのも良いですが、今は中々難しい世の中ですので、医師、薬剤師で良く理解されている方から購入するのが良いです。