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医心方 巻二十七 養生篇 服用第九 鳳凰堂流解釈

服用と書かれていますが、薬の服用ではなく、衣服の用い方とでも解釈したほうが良い節です。

 基本的に季節に沿った服の厚みについて書かれていますが、特に冒頭部分では、春は天氣が温かくなるが、実際には地氣まで温かくはないので衣服を薄くすることで、厥逆が起こりやすくなることを戒めています。

大素経からの引用
「岐伯は次のように言っている、衣服は気候の寒熱に適応する事が第一である。寒ければ寒くないように、暑ければ汗をかきすぎないような服装が好ましい。」

養生要集からの引用
「青牛道士は次のように言っている、春は天気が温かく、陽気がどんどん上ってきているが、服は薄くしないように。常に軽く汗をかくくらいが一番良い。」

千金方からの引用
「衣服や道具には珠玉や金や宝物を用いてはいけない。過失を更に増やすようなものである。」


「春は服を薄くしてはいけない、傷寒にかかったり、霍乱、消化不良、頭痛を起こす。」


「春になっても氷が未だ解けない内は、服は下を厚くし、上を薄くするくらいがよい。陽気を増やし、陰気を収める事ができていれば、次の世まで長生きできる。

 湿った服や汗になった服を着てはいけない。虐や風逆にかかる。たくさん汗がでたら、よく服を取り替える方が良い。替えられない場合は急いで粉をつけよ。そうしなければ小便がよく出なくなる。」


「朝起きた時に服が光って見えたら、出入り口で三回服を振り「殃々去々」と呪文を唱えればよい。」

養生志からの引用
「朝起きて服を着るときに、裏返しになっていたら正しく直してから着る方が良い。」


「朝起きて服や帯で人を抱き、或いは結んで三回振って「殃去殃去」と言うのが良い。」


「枕を高くして遠くへ唾すると寿命は減る。」

本草食禁雑法からの引用
「北に向かって冠をかぶり、帯を結んではいけない。大凶である。」


 人が感じやすい表面の気候と実際の身体に与えている気候の加減との詳細な区別をしていたことが伺われ、短い節ですがこの感覚をしっかり身につけることで、身体内で起こっている事を推定する端緒となると教えてくれているように感じます。

ここでも当然個人差はでますので、個人個人自分がどう感じ、どうすべきかを考える必要があるでしょう。

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