養生訓巻第一 貝原篤信篇録 総論上 ㉟ 鳳凰堂流解釈
人の身を保つには養生の道をたのむべし。鍼灸と薬力をたのむべからず。人の身には口腹耳眼の欲ありて、身を責むるもの多し。古人の教えに、養生の至れる法あり。孟子にいわゆる寡欲これなり。宋の王昭素も、身を養う事は欲を寡くするにしくはなしと言う。省心録には、多欲則傷生と言えり。凡そ人の病は皆我が身の欲をほしいままにして慎まざるより起こる。養生の士は常にこれを戒めとすべし。
鳳凰堂流意訳
人が寿命まで身体を保つには養生の道を心得ておく必要がある。鍼灸や薬等治療に頼ってはいけない。人の身体には口、腹、耳、目という欲があり、これが身を責める事が多い。
古人の教えには養生についての法則性を伝えたものがある。孟子は欲を少なくしろと言い、宋代の王昭素も心身を養っていく為には欲を少なくするしかないと言っている。省心録には、欲が多ければ生命を傷つけると書かれている。
だいたい、人の病は全て自分の心が発する欲を欲しいままにしようとして自分の身体を慎まないことによって起こっている。
養生を志す人はよくよくこの点を戒めとして持っておくべきである。
鳳凰堂流解釈
忙しさにかまけて、長い間さぼっていましたが、養生訓巻一総論上は後3つなので最後までやります。
今の生活基準と昔の生活基準は異なり、現代は昔よりもかなり贅沢な生活をしています。この時代に慎ましやかに生きるとは、食も一日一食か二食。少しの米、みそ、山菜、たまに魚といった程度でしょう。それでも現代の人よりは身体は強かったと言えます。かといって急にその生活に変えると、身体も心もついていきませんので、年老いていくにつれて、少しずつ変えられると良いと思っています。