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007_『暮らし』 / YeYe

好きな日本語の行は『や行』。

特に2番目と4番目の音。
あえて表すなら(い)と(え)の音。

「日本語」と「日本語でない」の間で曖昧に浮遊しているこれらの音を、定期的に声に出してしまいたくなる時がある。それは、しんと静まり返った雪の中であったり、あるいは誰も言葉を発することのない早朝の電車の中であったり。そういう場所で。

とても個人的なものだと思っていた(い)と(え)の音。そう思ってた時に、出会ったのが、YeYeというアーティスト。

名前を発音するだけで、身体が少しだけ軽くなってしまう、そんな気持ちになってしまうアーティスト。そして、その歌声を聴くと、心が柔らかくなっていく、そんなアーティスト。

初めて知ったのは『morning』という曲で、ギターだけでなく、ベースやドラムまで自分で演奏するというMVを見て、その姿に虜に。タイトル通り、休日の朝に聴きたくなる曲。曲の最初から最後まで爽やかに突き抜けていく感じが好きです。

そして、3rdアルバムの『ひと』。

本当に素敵な曲がたくさんで、あまりにも好き過ぎて自分が制作担当したイベントに呼んで、ソロでライブをやってもらったくらい。バンド編成のこのアルバム。イベントではソロでの出演。アコースティックアレンジによる楽曲もまた違った魅力に包まれていました。歌詞の世界観も不思議で、どこか別の世界に迷い込んだような気持ちになります。

そんなYeYeの新しいアルバムが3月についに発売。リード曲の『暮らし』のMVが公開されました。

そう、この感覚。

シンプルな編成と演奏なのだけれど、紡がれる音に対するボーカルの重なり方、調和の仕方がとても気持ち良い。「暮らし」というタイトルの通り、日常と繋がっているような声と音。ついつい鼻歌で音を追いかけてしまいたくなる。

楽曲の良さはもちろん、やっぱりそれ以上に素敵な声。YeYeという響きと、その声が合っていて、それだけ嬉しくなってしまう。

音楽の力はすごくて、メロディがどうしても世の中には溢れかえってしまうけれど、こうして日常と寄り添ってくれるような音楽こそ、大切にしたい。

誰も聴く人のいない、山の頂きの上で、今度はその歌を口ずさもう。


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