064_『The Big Yield』 / アントニー・ゴームリー
平野啓一郎の小説『ある男』のカバーにも使われている、アントニー・ゴームリーの『The Big Yield』という作品。
あまりにも素晴らし過ぎて、PCの壁紙にも、iPhoneのロック画面にも設定してしまったくらい。みんな、きっと、同じようにすればよいと思う。思わずnoteのプロフィール画像にもしてしまった。
彫刻作品なのに、この写真一枚だけですっかり魅了されてしまっていて、それは一体どういうことなのか。実物を見てしまったらきっと、その場で倒れ込んでしまうかもしれない。
ただのグレーのブロックが積み重ねられて、全体として人間の形をしているだけなのに、まるでそのブロックの数だけ語られる物語があるかのよう。グレーのブロックは当然、光の反射によって、その角度によって、薄かったり濃かったりとグラデーションがあって、視点とほぼ正対する面についてはフラットに見える。その無限の組み合わせと、視点による無限の組み合わせ。ゲシュタルトの崩壊と再生のリピート。
0から1が生まれるとはこのようなことだと思う。
ゴームリーは、大好きなアーティストの一人で、日本では国東半島芸術祭にも出品されていたりするけれど、やはり、新潟県の越後妻有トリエンナーレにある『もう一つの特異点』が、至高。
0から1。まさに特異点。