【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㊽「おころ」「ひみつ」 <135号 令和6年10月>
「おころ」はモグラ(土竜)のことと思われます。ですが、米作農民に嫌われるネズミと違って、ホツマでは、守り神のような名誉ある立場を得ています。
ホツマの記述に拠れば、火の神カグツチが土の神ハニヤスにタツ(龍)を生ませようとしたのだけれど、タツに成れなかった落第生が「おころ」であり、口から炎を吹くと伝えられています。
タツは、山で千年、海で千年、里で千年の修行を積んで悟りを得るとタツキミ(龍王/龍神/鱗君)に成るとホツマは語りますが、最初は土の中に生まれるのでしょうか。それとも、カグツチとハニヤス以外の組み合わせもあるのでしょうか。カグツチとミズハメであれば「鯉」が生まれそうな気もします。ウツロヰなどもタツを生みそうなイメージが筆者にはありますが、想像すると空想はひろがります。
「おころ」は「土公」と表記されるようになり、「土公」は、「つちぎみ」「どくう」「どこう」「どくじん」「土公神どこうじん」とも読まれて、陰陽道で説く遊行神のひとつとなります。「春は竈(かまど)に、夏は門に、秋は井戸に、冬は庭におり、その期間にその場所を犯すとたたりがある」という性格は、まさにホツマの語る「オコロカミ」と同じです。
地中にあって、季節ごとにその「土をかき混ぜ(=イカスル)」ことによりその土地を守護する役割を果たします。そのイカスルが、「坐摩」となって、大阪市中央区久太郎町に鎮座する坐摩(イカスリ)神社などにも、その働きが示されています。
さて、カグツチとハニヤスつまり「火」と「土」に、水が加わって「火水土=ひみつ」となります。「空風火水土」のうち「陽隠隠」が揃って「ひみつ」となるわけです。(駒形氏は「火水=ひ・みつ」と解釈① 陰陽・天地の代表格としての「火水=天地自然と解釈②と観ておられます)
「ひみつ」は、ホツマに八っ箇所もでる用語です。この言葉は、「秘密」ともつながる用語であり、呪術的な意味合いを帯びています。また、キツヲサネの「ヲ」が、「土」の属性であり、中央や統治・調和の属性を持つので、シナに伝わると、木火土金水の「土」のポジションが「中央の土性」に関わります。
「火と水と土」は最も人間生活に深く関わるものながら、底知れぬパワーを秘めると縄文人は感じていたのでしょう。隠れ住むかのように生息するモグラに、その「秘密」を映し観ていたのかも知れません。
(駒形一登「解読ガイド」参照)(つづく)
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
しばらく更新から遠ざかっていました。山旅生活に耽溺していました。
さて、筆者は山でモグラに遭遇することはありませんでしたが、ホツマツタヱはどうやら、モグラが気になるようです。
今年は辰年でしたので、龍神がとかく取り上げられていました。日本人は龍神が大好きです。ところで、龍神は「登竜門」をくぐる以前、何者だったのでしょう?
何となく「鯉」であったように認識されていますが、ホツマでは、未成人ならぬ未成龍についての明確な記述はありません。でも、「出来損ない」についての記述があります。「タツ=龍」に成れなかったのが「オコロ」なのだそうです。「オコロ」とは、モグラのことです。
「口から炎を吐く」と描かれているのは、朱い舌をそのように観たのでしょうか。それとも、火山溶岩流の進み方をモグラの土盛りのように観察したからなのでしょうか。ホツマでは、火の神カグツチと土の神ハニヤスを「タツ=龍」の両親に見立てていますので、天を舞う龍神も、もとは火山溶岩流のように生まれたと考えたのかも知れません。
↑ モグラの新居さがし 貴重映像らしい
↑ とっても過酷なモグラ人生
↑ 実に愛らしい
↑ モグラが害獣なのかということを考える動画(最後まで観てね)
あのペットボトル風車の意味を初めて知りました、、、