【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㊾「やつ」「やつみみ」 <136号 令和6年12月>
「やつ=八」はホツマにおける聖数のひとつです。「やたかかみ八咫鏡」や「やえがきつるぎ八重垣剣」など、三種神器にも「八」は取り上げられています。その根元には「八元神=トホカミヱヒタメ」の八神があり、八元神を象徴する「ヤハタ=八幡」も「八」の聖数を尊重しています。
フトマニ歌「シやま」の「やつみみ」は、本号宮崎論文にあるように季節の巡りを司る「八元神」を表していると観ることが出来ます。
『さをしかやつの をんみみに きこしめさるる あさまつり』ホ序
『さをしかの やつのきこえに あらはれて いのれもかもと』ホ28
などの記述は「やつ」を「八元神」の短縮形と考えて間違えないと思われます。神社神道でよく唱えられる「祓詞」を(ミカサフミ「あわうたの綾」写本が発見された)河口湖富士御師の本庄家では「佐牡鹿八御耳」の文言を入れて唱えていた伝書があります。
ただし、フトマニ写本では数詞の「ハネ」が明確でないため、駒形氏は、この「やつ」を語源に遡り考証されています。駒形訳では、このフトマニ113番歌の「やつみみ」を「祭礼・敬い尊ぶこと」と解釈されています。「やつ」を弥栄の「弥つ」ととらえて「上方へ向かう」と読み解かれるからでしょう。
「やつ」には、もうひとつ興味深い関連語があります。それは、「やつこころ」「八つの心」です。
「ふたこころ=二つの心」は、ホツマツタヱでは明確に劣等語であり、浮気心や迷い心を表します。「やつこころ」は、思兼神の別名でもあり、「思い悩む心うち」と解釈も出来ますが、駒形氏は「やつこころ」を「熱き心、熱き心を打ち明けられた者」と解釈されています。ワカ姫の燃える恋心を表明された思兼神の心理情況を表現しているわけです。この場合の「やつ」も「弥つ/熟つ」と解釈しているのです。
原田峰虎氏『フトマニ歌占い』では、113番歌のこの部分を「ウケモチ神が八元神を招来して祈る」(新穀)祈年祭として解釈しています。ウケモチ神が生存していた頃の季節祭りとしての「祈年祭」「風生祭」「穂積祭」を伝承していると観ているわけです。
「みみ」が表現されることは重要です。古来、皇室では、「よく聴くこと」を何よりも大切にされてきた伝統があることを、この「重要語」にも感じ取ることが出来ます。
(駒形一登「解読ガイド」参照)(つづく)
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わたしたち日本人は「八」が大好きです。末広がりを尊び、子孫繁栄、幸せの拡充、喜びの連鎖を大切にしてきました。今はたとえささやかで苦しくても、やがては広々と明るく道が拓けていくと信じて、日々のツトメを重ねてきました。明日を信じるから今を大切にする心持ちだったのです。
「みみ」も日本人を特徴づける言葉です。虫の鳴き声を、「声」として聞き分けられるのは日本人独特の聴覚だとする説もあるようです。「あいうえお」の母音を重視し、音に声を感じ取り、すべての生き物に、否、風や川の流れや、波や雷の音にも「声=メッセージ」を感じ取るのです。
目に見えるものだけではなく、目に見えないものの「声」を感じ取り、感謝し、祈りを捧げ、生かされている喜びを歌い上げていました。
さあ、年の瀬も押し迫って参りました。変化の大きい時代に生きるからこそ、変わることのない叡智に学びたいものです。
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何となく、コヤッキー観ていたら、ヲシテ文字が出てきた(冒頭)、、、
でも、ペトログラフとヲシテ文字はチョイ異質。それはともかく、コヤッキーさんの日本愛アプローチは、とっても好感が持てます♡