「諦める人間をバカにする人」はいつか無駄な努力に人生を費やす事になる

サンクコストバイアスという概念がある。物凄く単純に言ってしまえば、労力を掛けてしまった分だけ、そのものには価値があると思ってしまう事だ。

これが悪い方向に働くと「見始めてしまった映画が全然つまらないのに、途中まで見てしまったが故に中々見るをの辞められなくて、結局つまらなかったのに時間だけ浪費してしまった」なんて事になってしまう。

「これだけ時間を使ったのだから、この映画には価値がある!だから最後まで見なければ!」と思って、限りある人生の時間を浪費していくのだ。

サンクコストバイアスは掛けた労力が長ければ長いほどに効果が高くなる。20代で入社して定年で退職するまで続けた仕事を、何の価値もないと考える人間はいないだろう。傍から見れば何でもないと評価されても当人は絶対に価値を見出しているはずだ。

努力は素晴らしいと皆は言うけれど、努力の対象が間違っていればそれは自分を呪縛する。「これだけ頑張ったのだから、これには価値がある」「これだけの努力を費やしたのだから、何らかの報いがあってもいいはずだ」と言う風に考えて、自分の合理的精神を歪めていく。

101回で壊れる壁を100回で諦める人間がいれば、100億回で壊れる壁を1万回叩いて一生を無駄にする人間もいる。

聞こえがいいから世間は努力を賛美するし、諦める人間を侮辱するけれど、世間はあなたの人生に責任を取ってくれない。絶対に。好き勝手に適当な事を言って、都合が悪くなったら言い訳して逃げるだけだ。

だから、サンクコストバイアスの呪いを回避する為に、努力の配分は冷静に考えなければいけない。「自分の人生はこれに賭けるべきだ!」と確信できたものにこそ努力は注ぐものであり、「適当に始めたけど、何となくキリが良いところまでは終わらせたい」なんて言う適当な理由で漫然と努力を注ぐものではない。

人間には向き不向きがあるから、同じ努力をしても進むスピードが違う。努力の対象によっては絶対に成果が出ない性質のものだってある。

努力とは「何らかの対象のエネルギーを注ぐ」というだけの行為なのだから、適正や行程や方向によって成果は全く異なる。

だからこそ、日頃から「諦める人間をバカにする」癖を付けるのは良くない。「どのような理由であれ、諦める事は悪い事だ」と考える人間は、「無駄な努力に人生を費やしてしまう呪い」を自分に掛けているようなものだ。

人生の内、努力を注げる期間は思ったより短い。

なんでも試してみるのは良いが、全てにのめり込むだけの時間とエネルギーは存在しない。


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