リスクは炎上だけじゃない!東大のインスタ復活ストーリーで痛感する、SNSの隠れた危うさ
SNSは、広報活動において言わずと知れた重要な情報発信ツールです。高校生を含む若者世代がよく使うこともあって、積極的に活用する大学が多いどころか、全大学が力を注いでいるといっても過言ではないように思います。そして、それは日本のトップ大学である東京大学であっても例外ではありません。今回、見つけた東大のプレスリリースは、同大学がSNSをいかに重視しているのかとともに、SNSの危うさがよくわかるものでした。
東大インスタのフォロワー数が1万人突破!
では、どのようなプレスリリースなのかというと、東大のInstagramのフォロワーが1万人を越えた。そして、これにともない「東京大学公式Instagramフォロワー1万突破ありがとうキャンペーン」を実施する、というものです。
キャンペーン期間が9月13日(金)から9月30日(月)までで、この期間にインスタをフォロー、もしくは応援メッセージを投稿すると抽選で25名にオリジナル東大グッズがプレゼントされるようです。このnoteを書いているのは、キャンペーン終了前日となる9月29日(日)。この段階でフォロワーが1.1万人に増えているので、キャンペーンはいい感じに成功していそうです。
ちなみに、少し話が脇道に逸れるのですが、そういえば東大の公式SNSアカウントって、どれくらいあるんだろう?と調べてみると一覧ページを見つけました。
目視で数えてみると、なんとアカウント数は253!ただよくよく見てみると、和英併記のものは日本語アカウント、英語アカウントで2アカウントとして記載されているので、実際はもう少し減りそうです。とはいえ、アカウントが大量にあり、日本語アカウント、英語アカウントを別々に整理しているところに、世界を意識して精力的に情報発信をしているなあという印象を受けました。
アカウント凍結は誰にでも起こり得る悲劇
……話をもとに戻します。今回、このプレスリリースのタイトルで目に止まったのは、インスタのフォロワーが1万人突破したところではなく、「2度のアカウント凍結を乗り越え」という一文です。さらにいうと、そんな苦難を乗り越えてよくぞ頑張った!ではなく、外部プラットフォームを利用することがいかにリスキーなのかを、あらためて実感しました。
プレスリリースには、2度の凍結を経てインスタを再開したときの学内報の記事へのリンクがあります。
これを読むとわかるのですが、2度とも突然凍結されていて、凍結された理由が何一つわからないんですね。対策のしようがないし、1度ならず2度もあって何の対策もできていないとなると、3度目が起きない可能性の方が少ないのではないか…?とさえ思えます。
見るからに怪しい企業のアカウントが凍結されたのなら、ガイドラインに違反していなくても何かあったのかな、と思わないこともありません。でも公共性の高い大学という組織で、しかも東大で、しかも2度も……となると、けっこう震える事件だと思うんですね。もうどこで起きてもおかしくないんじゃないかと。
さらにいうと東大の最初のアカウントでは、月16本ペースで投稿していたとあり、かなり人的リソースを割いています。SNSは、やろうと思えば人件費以外の費用をかけずに運用できるので、かけた金額が具体的に見えにくいという側面があります。でも、よくよく考えるとすごく費用をかけているわけです。それが理由なく一瞬でパァになり、何一つ補償が受けられないのって、リスクがすごいなあ、と思わずにはいられません。
もちろん、各SNSのプラットフォーマーは無料で提供しているんだから文句を言われる筋合いなんてありません。大学側がSNSに価値があると判断するなら、東大のように何度もやり直すしかないんです。
SNSは、すでにあって当然のものになっており、いかにフォロワーを増やすかで頭を悩ますことはあっても、凍結されたときの対応やリスクについて意識することは、そうないように思います。
東大の事例は、大学広報関係者がSNSのリスクを考えるうえで、すごくイメージがしやすい好事例です(事実だけでなく、学内報に経緯が載っているのが◎)。実際は、炎上リスクなど他にもリスクがあるので、それらも踏まえて、SNSをどう使い、どこまで注力するのかを、課内や学内でコンセンサスをちゃんととっておくのは大事なことだと感じました。良くも悪くも日常のルーティンに組み込まれがちなので、今回のような情報をぜひ立ち止まる機会として積極的に役立ててもらえたらと思います。