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駒澤大学の「Amazonほしい物リスト」の取り組みに見る、大学に寄付文化を根付かせる大きなポテンシャル

18歳人口が確実に減ってきているなか、新たな財源をどう確保するかは、すべての大学に共通する悩ましい課題です。今回、見つけた駒澤大学の取り組みは、この課題の解決策の一つとなる「寄付」に関わるものになります。寄付関連のプロモーションに関わるといつも感じていたジレンマが、この取り組みだとうまく解決できそうで、すごく可能性を感じました。

「Amazonほしい物リスト」を使って現物寄付を募る

駒澤大学の取り組みは、学生支援の一環として「Amazonほしい物リスト」を公開し、食料品の現物寄付を学内外に呼びかけるというもの。昨年度も同様の取り組みをしていたようです。ちなみに「Amazonほしい物リスト」を公開して現物寄付を募る取り組みを、Amazonの「みんなで応援」プログラムというようです。このプログラムでは、支援して欲しい団体・施設が、ほしい物リストを公開し、寄付者がそこから贈りたい商品を選んで購入すると、リストを公開した団体・施設にその商品が届けられるとのこと。同プログラムのページを見てみると、けっこうな数のNPOや一般社団法人がリストを公開していました。

寄付の2大ネックを解消する、画期的な寄付システム

この取り組みがすごくいいなと思ったのは、寄付で大きなネックになっている二つのことを、うまく解消できているからです。

一つは、煩雑な寄付の手続きを簡略化できることです。通常、寄付をするときは、大学の該当ページにいって、寄付の種類を確認して、お申し込み方法を読み込んだうえで、必要事項をフォームに入力しないといけません。寄付に慣れている人なんてそうそういないし、お金に関わることなので慎重にやらざるを得ません。大学によっては、入力フォームの項目に「寄付回数」があり、しれっとデフォルトが「毎月」になっていたりもします。いろいろと気にしながら作業すると、それなりに時間も心理的負担もかかります。でも、今回のほしい物リストであれば、寄付までの作業はAmazonで商品購入するのと同じなので、わずか数クリックなんですよね。これ、めちゃくちゃ画期的です。

もう一つのネックは、寄付が正しく使われているのかがわからないことです。実際はないと思うのですが、どこかで中抜きされているんじゃないかとか、有効に使われていないんじゃないかとか、ついあやしんでしまう人もなかにはいるように思います。

昔に比べると大学の寄付もかなり具体的に使用用途を指定できるようになりました。それでも事業やプロジェクトの指定ぐらいが限界で、細かいところはおまかせです。しかし、今回のほしい物リストであれば、現物寄付なので使用用途がものすごく具体的なんですよね。これによって、寄付する側は安心できるし、この寄付によって誰がどう喜んでくれるのかもリアルに想像できます。寄付の用途に実感がもてるのって、寄付者にとってはかなりのモチベーションアップにつながるように思います。

ほしい物リストは、寄付文化を根付かせる布石になる

ほしい物リストの特長は、寄付までの作業が勘弁で、用途がものすごく具体的、さらにもう一つあげるとするなら寄付額が比較的低額というのがあります。リストに載っているものは、ほとんど食料品や生活必需品だからです。

これらの特長は、実は現役世代との相性が抜群にいいように感じています。というのも、現役世代は忙しくてお金がない。母校のために何かしたい気持ちがあっても、通常の寄付であれば申し込むのに時間がかかるうえ、寄付できる額も少ないため、わざわざやってもなあ……と意気消沈しがちだと思うんですね。でも、ほしい物リストであれば、簡単に寄付できるうえ、どう喜ばれるかも具体的にイメージができます。学部単位、ゼミ単位でリストがあるといいですよね。ほとんどの大学では、寄付者の中心は卒業生なので、直接自分の後輩を支援できるようになっていたら、かなり気持ちが動くんじゃないでしょうか。

ほしい物リストによる現物寄付は1件ごとの額は少ないものの、寄付へのハードルが低いので、地道に広げればけっこうな額になりそうです。総合大学であれば、毎年5000人以上卒業していくところも少なくありません。そのうちの半分が、毎年数百円の現物寄付をしてくれるのが、10年、20年と続いていければ、かなりの額になっていきます。また、卒業生が寄付をしてくれたという体験を在学中にすることも、すごく大事な気がします。これを体験しておくと、自分も卒業したら少額であっても大学に寄付をしようという意識が自然と芽生えるのではないでしょうか。

さらにいうと、ほしい物リスト型(?)の寄付であれば、従来型の寄付のターゲット層より若い世代をねらうことができます。若いうちに大学への寄付を体験しておいてもらうというのは、長期的に考えるとすごく価値があるように思います。若いときはお金も時間もないですが、歳をとったら余裕がでてきます(たぶん…)。そのときに、大学への寄付が選択肢として浮かびやすい状況を、前々から仕込んでおけるわけです。

このように考えていくと、ほしい物リスト型(?)の寄付は、単純に現物寄付をしてもらうだけでなく、大学に寄付文化を根付かせることに一役買いそうです。戦略的に使っていくと、かなり面白いことができる予感がビンビンとします。

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