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関西圏の大学の序列をぶっ壊す!大学業界の“黒船”を考える

少子化が進むなか、大学はあの手この手で生き残られるよう大学改革に取り組んでいます。なかには、受験生だけでなく、社会全体にもインパクトを与えるような取り組みをする大学もあります。大阪市立大学と大阪府立大学の統合は、関西圏でいうとこの最たるものの一つなのかなという気がしました。

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関西圏の大学で勢いのあるところは、内容もさることながら、その過激なものいいや、尖った広告表現が目に付きます。たとえば……おそらく頭によぎった人も多いように思うのですが、近畿大学。「マグロ大学」「早慶近」「大阪のユニバといえば、近大やろ」など、耳につくフレーズを打ち出しては世間をざわつかせています。

また、日本電産の永守重信氏が率いる京都先端科学大学も同様で、こちらは広告表現ではなく、永守氏のコメントが刺激的です。なかでも、2025年まで関関同立を、2030年までに京都大学を抜くと宣言したのには、世間がざわつきました。

大阪市立大学と大阪府立大学の統合ですが、これは先に述べた二つの大学に比肩するか、それ以上に大学業界にとっては“黒船”なのではないかと思うのです。とくに何がすごいのかというと、広告的な要素がまったくなく、事実関係だけで強烈にインパクトがあることです。改めて文字に起こすと、関西圏の人なら誰もが知っている老舗公立大学が二つくっついて、全国最大の公立大学になる。しかも2025年に、大阪城にほど近く、大阪のど真ん中である森ノ宮にメインキャンパスをつくる。これ、事実の羅列だけなのに、かなりパワーがありませんか?

事実は広告表現やメッセージと違い、時間が経つことで風化することはありません。そして、派手さはないものの強い説得力があります。おそらく受験生の受け止め方も、他の2大学とは少し違うのかなという気がします。

……と、ここまで近畿大学や京都先端科学大学より、市大と府大の統合の方が長期的に見るとインパクトあると書きました。でも実は、どの大学も私はステキだと思っています(なんのこっちゃ)。

アプローチの仕方はさまざまですが、これら大学の言動は、受験生だけでなく世間に響いているんですね。大学が今より上に昇るには、どこかでほぼ固定化している大学の序列(京大・阪大・神大、関関同立など)を壊さなくてはいけません。しかし、序列は偏差値で区切った結果かというとそうでもなく、世間の評判によって作られているところが多分にあります。これを壊すには、教育内容の改善など、受験生と進路指導教員だけが興味を持つ具体的で細かな改革だけでは足りません。これら3大学には、世間を巻き込んで自分の位置を改善していける、そんなインパクトとファクトがあります。

大学の序列は、時に受験生のやる気を刺激しますが、一方で大学選びを鈍感にさせます。「MARCHのどこかに入れたらいいや」という大学の選び方です。これは受験生にとっても不幸だし、智恵をしぼって教育改革する大学にとっても悲しいことです。これから先、大学はより切磋琢磨しなくてはいけない時代がやってきます。そのときに、努力や工夫が“序列”というフィルターを通して判断されないように、これら序列の破壊者となりえる大学には頑張って欲しいし、それが結果的に大学業界をよくするように思うのです。

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