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#44 言葉の力

今はむかし、私が中学生だったころ、教科書にある文章が載っていた。
それは大岡信さんの「言葉の力」という作品である。

そのなかで印象に残っていたのが、ある染色家の方が染められた桜色の着物についてだった。

「そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。(中略)この桜色は一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。」大岡信さんの「言葉の力」より


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つまり、桜の開花前、冬から春になろうとする今の時期、すでに桜の木の中には、もう桜の色が用意されているということになる。

note台紙

自然の力もすごいし、そこから色を染め出して着物の形に仕立て上げる染色家の方の技も、同様にすばらしいなあと思う。

ところで、私たちライターも日々いろんな種類の文章を書く。しかし、やっぱり最終的に文章ににじみ出てくるものはその人の人間性ではないだろうか。

果たして今の自分の文章からは、どんなものがにじみ出ているのやら。

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