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財務諸表の読み方

前にこんなnoteを書いた。

簿記とは何かというのを簡単にまとめたものである。
意外にも好評で、またこれ関連で書いてほしいという要望もあった。自分の勉強に飽きてきたので、今回は財務諸表の読み方について書いていこうと思う。
これさえ知ってれば、なんとかなるやろというのをまとめていこうと思う。


財務諸表を読むとは何か

財務諸表を読むというのは会社の状態を財務諸表から“推定する“ということである。過去の実績を理解すること、現在の会社の状態を推定すること、将来どうなるかを推定する基盤を作ることが財務諸表を読むことの目的である。“推定“という言葉を用いたように、実際の状態は分からない。もしかしたらとんでもない秘密兵器を隠していて、急激に成長するなんてこともありうる。つまり真実を必ずしも反映してるわけじゃないと考えてくれると嬉しい。
また絶対的なものは多くなく、他企業と比較して優位かどうかを示すことが多いというのも知っておいてほしい。(今回紹介するのは比較せずとも判断できる指標が多いと思う。)


キャッシュフロー計算書

これから分かることは、その企業が導入期→成長期→成熟期→衰退期のどれに属しているかということだ。
見る情報は営業活動、投資活動、財務活動キャッシュフローそれぞれの合計値の正負のみである。その正負の結果以下のどれに当てはまるのかを考えれば良いだけだ。

貸借対照表、損益計算書

この二つからはいろんな情報が読み取れるが、①継続性(倒産リスク)、②収益効率、③成長率の指標のみに絞って財務諸表を読んでいきたい。
基本的に数式を理解して、数式に当てはめて計算し、その値がどうかを判断するだけなので、その数式とその意味を書いていこうと思う。
そしていずれの計算方法も覚えなくて良い。へー財務諸表読む人はこういう計算してるんだなぁ〜程度の理解でOK。


継続性(倒産リスク)

自己資本比率
(自己資本/総資本)×100(%)
持っているお金のうち、どれくらい自分のお金なのかを測る指標。少なすぎると倒産リスクが高く、多すぎると効率が悪いと考えられる。自己資本を資本(純資産)、総資本を資産と読み替えても良い。
業界に依るが、30~50%が理想的

固定長期適合比率
{固定資産/(自己資本+固定負債)}×100(%)
固定資産が長期資金によってどの程度賄われているかを測る指標。企業の固定資産投資の安全性が分かる。長期的な安全性を測るものである。
絶対に100%以下であってほしい。

インタレスト・カバレッジ・レシオ
(営業利益+受取利息・配当金)/(支払利息+社債利息等)
企業の債務支払能力がどの程度かを測る指標。短期的な安全性を測るものである。
大きければ大きいほど良い。1より低いと倒産リスクが高い。
※キャッシュフロー計算書から計算することもある


収益効率

ROA(総資本事業利益率)
{事業利益(年間)/総資本(年平均)}×100(%)
会社がどれくらい効率的に資本を使えているかを測る指標。総資本(年間)となっているが、前年度の総資本と今年度の総資本を足して2で割れば良い。事業利益は載ってないことがあるので、営業利益などで代用することが多い。
業界や市場によるが、一般に5%を超えると良いとされている。

ROE(自己資本当期純利益率)
{当期純利益(年間)/自己資本(年平均)}×100(%)
投資家(株主)のお金でどれくらい効率的に収益を得ているかを測る指標。将来株主になりたいなぁって時に使う指標。
業界や市場によるが、一般に8~10%を超えると良いとされている。


成長率

売上高成長率
{売上高(当期)/売上高(比較したい年)}×100(%)
当期が比較したい年に比べてどの程度売上高が大きくなったかを計算する方法。前年度と比較することが多い。
100%が望ましいが、市場や業界によって異なる(ex:コロナの影響で売上が下がるなどある)。


実際に財務諸表を読んでみる

今回は日本が誇る大企業トヨタの財務諸表を読んでみたいと思う。
上の章でお腹いっぱいという人はここで終わり、もしくはこの章の結論だけ見て終わりにしてもらえればと思う。
読んでくれてありがとうございました。

https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2023_4q_summary_jp.pdf

さて実際に読んでみよう。
まずはキャッシュフローの分析(PDF P.12を参照)だが、営業活動が+、投資、財務活動がーであるので、トヨタは成熟期に位置することがわかる。業界No.1であることからもわかる通り、この分析は感覚に一致しているのではないだろうか。

次は継続性について分析していこう。(p.7~8、12を参照)
自己資本比率=29,264/74,303=39.3%
固定長期適合比率=12,633/(29,264+21,079)=25%
インタレスト・カバレッジ・レシオ=(2,725+1,516+460)/593=7.92(倍)
どの値を見ても倒産リスクが低いことがわかる。

最後に収益効率、成長率について分析していこう。(P.7~9)
ROA=2,725/70,996=3.8%(営業利益で計算)
ROE=2,492/28,209=8.8%
売上高成長率=37,154/31,379=118.4%
ROAが5%を切っているが、3.8%と十分高い数値であり、そのほかの結果も申し分ないことが分かるだろう。

財務諸表を読んだ結論としては、倒産リスクが低く、効率性、成長率の観点から見ても優良企業だということが分かった。


最後に

ここまで財務諸表を読めれば、なんとなく通ぶれるはず。これを読んだ後はでかい顔して街を歩けるだろう。という冗談は置いておいて、なんとなく財務諸表を読む感覚はわかったと思う。
元も子もない話をすると財務諸表をホームページに載せる企業は、上場企業か優良企業しかないのであまり面白みがない。ただ自分の勤めている企業、もしくは就活生は自分の志望する企業が財務諸表を掲載していれば、分析するのも面白いかもしれない。
他にももっと多くの指標を用いて財務諸表を読むことができるので、もし興味を持ったらネット等で調べてみてほしい。
ここまで読んでくれてありがとうございました〜!

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