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マッドパーティードブキュア 338
「セエジ、皆は任せたぞ」
「はい」
神妙な顔でセエジが頷く。戦いの余波がどのように及ぶか定かではない。戦闘力のない女神やテツノを無防備に置いたままでは、全力で戦うことはできない。セエジは守りきるだろう、とマラキイは思った。へらへらと信用のならないやつだけれども、なにか守りたいものはあるようだから。
だがら、マラキイはセエジたちに背を向けて、一歩前に踏み出す。踏み出せる。両手に魔法少女の力を込めて、迫りくる黄金の腕に相対する。
「いつも通りに、やるぞ」
「ああ」
緊張した面持ちで、メンチが頷く。そうマラキイとメンチはドブキュアだ。やるべきことはいつも通りの簡単なこと。ドブヶ丘を守るだけ。そのための力がある。残念なことだが。
マラキイは両手を広げる。そして、叫んだ。
「ドブキュア! マッドネス・プライヤー!」
眼前に迫る巨大な手をマラキイは両手で受け止める。巨大な腕だ。マラキイの魔法少女力で増強された手でも、指先しか掴めない。一瞬の足止めしかできない。
だが、それで十分だ。一瞬、動きを止めることさえできれば。
「ドブキュア! マッドネス・ストンプ!」
高く跳んだメンチが落下の勢いをそのまま黄金の指先に叩きつける。指先を構成する光陣が砕けて消える。だが、秩序の排斥力は高い。メンチの斧も、マラきいの手のひらも容易く弾かれてしまう。
「なんの!」
マラキイは叫び、再度腕を伸ばす。指先を掴んで捕らえる。すかさずメンチが斧を叩きつける。飛び散る光陣。弾かれる。掴む。叩き割る。繰り返す。繰り返す。いつまで続く? 無論削り切るまで。掴む。振り降ろす。弾かれる。掴むふりおろす。弾かれる。動きは次第に洗練されある種のリズムを刻むように繰り返されていった。非常に洗練されたリズムを。
洗練されたリズム? マラキイはっと気がついて手を止める。リズムを作っているのは誰だ? 弾く黄金の腕だ。マラキイの手が金に輝いた。
【つづく】