「挫折したピアノ」は何をもたらしたか?
Twitterに投稿したところ、思わぬ反響(!?)があったので、もうちょっと詳しく書いてみようかと思います。
ツイートでも書いておりますが、「挫折=悪」という話ではありません。なので今から読まれる方はご安心を。
ピアノを習い始めたけれど…
子供の頃、ピアノを習っていました。特に理由はなかったかと思いますが、敢えてあるとすれば、
・親が何か習い事をさせようと思ってた
・たまたま近くにあったのがピアノ教室だった
たぶん、そんな感じだったと思います。小学校に入るちょっと前か、そんな時期だったでしょうか。
最初の内は結構楽しかったというイメージもあります。「ド、レ、ミ、ファ」くらい弾ければクリアで、簡単な曲を集めた楽譜はいつも「合格」「花丸」という文字が書かれている。
しかし徐々に曲が難しくなると、なかなか先に進めない。何度やっても弾けないし、一つの曲をクリアするのに何度も教室に通わなければならなくなる……。
ピアノは女の子がやるもの(!?)
小学校に入ると、習い事にも「男女差」が出てきます。今はどういうものか分かりませんが、当時の感覚ですと、
・ピアノ(音楽)
→習っているのは大半が女の子
・書道(習字)
→あまり性別は関係ない
・公文
→どちらかというと男の子が多いかも
・水泳
→どちらかというと男の子が多いかも
・野球、サッカー
→大半が男の子(※そもそも女子チームがない)
概ねこんな感じでしょうか。
そうなると、何となく「男の子がやっている習い事」に興味を持つようになります。とりわけ当時はスポーツといえば野球。Jリーグもなかった時代のため、サッカーよりも野球の人気が圧倒的でした。
音楽を続ける理由があるとすれば、それは「上手だから」。自分よりも親や(音楽の)先生の期待があって続けるという感じになります。
一方、あまり上達している感じのなかった自分にとって「続ける意味がない」となってしまうわけです。
バイエル後半で終了
結果、小学校低学年の頃には既にピアノを止めていました。つまり「挫折」ですね。結局、どのくらい弾けるようになっていたかというと、
バイエル後半程度
「エリーゼのために」「アラベスク」といった、初心者にとって難しい曲が辛うじて弾けるかどうかといった感じです。ちなみに教室でこのような曲を弾く場合、完璧に弾きこなせないと合格となりません。そのため「ちゃんと弾けなかった」という扱いです。
音楽の授業は「楽勝」
ここまで書くと、辛い体験のように思われるかもしれません。しかし最初に申し上げましたとおり、これは不幸な話ではありません。何故なら、
音楽の授業が楽勝だったから
小学校の音楽の授業では鍵盤を弾くピアニカはもちろんのこと、リコーダーでも指の動作がスムースに動く。そして何よりピアノを習っていたことで楽譜が読めるため、
楽譜を見ただけで、どう演奏すればよいのか分かる
むろん、クラスの(音楽)発表会とかでピアノを担当するのは実際にピアノが上手に弾ける子(大半が女の子)なので、そういった子のレベルには遠く及びませんでした。しかし、授業で苦労することは基本的にありませんでした。
その後、中学受験のために塾に通い始め、私立の中高一貫教育だったため、公立中学校における「実技科目」「内申点」というものはありませんでした。
しかし、やはりここでも音楽の授業は楽勝で、このアドバンテージは高校卒業まで続くことになります。
音楽で苦労している大学生
大学では当然ですが、音楽の授業がありません。そのため、音楽の授業の話は「過去の思い出」となっていました。
しかし、実はそうでない学生が一定数います。どういう人かといいますと、
教員免許
小学校の教員免許を取得する際、必要となる科目の一つです。
現在は一部の自治体で廃止されているケースもありますが、これが「鬼門」となって苦労していた人、思ったよりも多かったです。
私自身、教育系の大学ではなく、また教員免許を取得はしていないので、このような実技科目の試験を実際に受けたわけではありませんが、実際に見てみるとレベルとしては全然難しくない。言い方は悪いですが、
そんなの簡単じゃん
と言ってもいいレベルなわけです(そう言うと、苦労している本人に対して失礼かもしれませんが)
「音ゲー」は意外とイケる
音楽を演奏するゲーム。いわゆる「音ゲー」というのがありますが、キーボード状のコントローラーを操作するゲームを実際にやってみたところ、思ったよりも弾けます。
キーボードマニアでリアルモードにした場合、最難度の曲は難しいのですが、「中・上級者」レベルだと何とかクリア可能でした。
むろん、大学生になると「バンドサークル」「バンド活動」をしているような人もいて、そういった人の演奏力に比べれば足元にも及びません。しかしゲームとはいえ、実際に演奏が出来るという満足感は非常に大きいものです。
挫折したピアノで何を得たのか?
むろん、私はピアニストになれたわけではありませんし、音楽の先生にもなっていません。今はYouTubeで、映画やドラマ。あるいはゲーム音楽等を演奏するYouTuberになる道もありますが、そのレベルに達しているわけでもありません。
しかし、
学校における音楽の授業で全く苦労しなかった
実はこれって大きな財産だったのではないでしょうか。
そういう意味では挫折ではない。むしろ「成功した」といえるのかもしれません。
もしも、あなたのお子様が「ピアノをやめたい」と言ったら…
あなたのお子様が「ピアノを習いたい」と自ら言い出したとします。にもかかわらず、ほどなくして「練習が嫌」「もう止めたい」といった場合、親としてはガッカリされるかもしれません。
「あんなに習いたいと言ったのに!」
「ここで止めたら、何やってもダメでしょ!」
つい感情的になり、中には無理やりでも続けさせようとする方も中にはいらっしゃるでしょう。
しかし、そんな状態で続けてもピアニスト。あるいはプロのミュージシャンになれるわけでもない。あるいは中学受験を始める場合、ピアノを止めなければいけないということもあるかもしれません。
しかし、私自身がそうであったように、
それは挫折ではない
のです。
もしあなたのお子様が将来、小学校の先生になりたいとします。そしてその時、
ピアノを習っていたことで、夢を叶えることが出来た
そうなれば、それはもはや挫折ではありません。成功です。
何もピアノに限った事ではありません。子供の頃に習い始めた事を大人になっても続ける。まして、それで飯を食うレベルに達するケースなんてほとんどないでしょう。
しかし、そこで得た経験やスキルは決して無駄にはなりません。たとえ短期間で止めてしまったとしても、です。
なので、お子様が習い事を止めたいと言った時、決して悲しまないでほしいと思います。何故なら、
その経験が、大人になった時に花開く
からです。