ホテル投資的2023年10大ニュース
このお題を書き始めてはや5年目か。そして、今年ももう終わるんだね…
インバウンド2019年超えと中国の戻りの鈍さ
2019年比のインバウンドの数は2023年1月の-44.3%からスタートして、徐々にマイナス幅が縮小し、2023年10月にはついに2019年同月を超えた。
https://www.jnto.go.jp/news/20231115_monthly.pdf
2019年10月はもはや記憶にないかもしれないが、ラグビーワールドカップが2019年9月20日から11月2日まで開催され、その特需の好影響を最も受けた月なので、それをわずかでも中国ほぼ抜きで超えたのはなかなかすごい。さて、その中国は8月に日本への団体旅行が解禁されたと思ったら、すぐに8月24日の福島第一原発における処理水放出に反応してトーンダウン。その後もスローペースが続いている。がしかし、それでもこの力強さ。むしろマーケットの2024年に向けた展望の明るさを強調したい。
あと、特筆すべきはインバウンド政策について、量から質への転換が明確に発表されたこと。観光公害、オーバーツーリズムというネガティブな側面に対するソリューションが量から質への転換。ホテル運営においても稼働率が十分に上がるとADRを上げる方向に行くけど同じ話ですね。
半導体市場の影響を受けるホテルマーケット
マーケットに対する明るい話題と言えば、TSMCやラピダスといった半導体工場の新設による特需の発生が各地のホテルに潤いをもたらしている。九州や北海道といったところが大きいが、ロードサイド型のホテルは近隣に存在する工場への出張者やルート営業マンが主たる客層になるため、コロナ禍においても安定はしていたが、出張予算も限られており、稼働率は高いもののセオリー通りにADRの上昇には繋げられない、という状況だった。これが半導体工場の新設による特需で、ADRを押し上げるまでになっており、近隣工場に関係する企業とのコーポレートレートの見直しが必要になってきている。
大和リゾートのバルクディール
地方への投資という意味では、大和リゾートのポートフォリオをバルクでJHRAが公募(JHR)ではなく、私募の部隊がかっさらったのも印象的だった。外資系オペレーターにリブランドしてアップサイドを享受するという分かり易いプレイで、JHRのスポンサーであるSC CapitalがADIAとGSAMとの共同投資は21年の近鉄→BX、22年のプリンス→GICに並ぶスケール感のあるディールだった。
さて、お気付きになっただろうか?売却されたのは24ホテルで、リブランドされるのは23ホテル。1ホテルだけ置いてきぼりになっていて、そのホテルは来年1月末をもって閉館とのこと(ホテルリストを見比べれば答えは出ますが、本noteの最後にも答えを書いておきます)。
サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。