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町田洋『惑星9の休日』について

 前回読んだ『夜とコンクリート』がとても面白く、続けて町田洋の漫画が読みたいと思い、本書を購入した。

 『惑星9の休日』は町田洋のデビュー作で、『夜とコンクリート』と同じく、SFの要素があった。しかし、舞台こそ宇宙のとある惑星だが、描かれるのはその惑星で暮らす人々の日常である。そのため、適度な非日常性もありつつ、加えて描写やセリフで人物の心の機微を描くのがとても上手なので、ちょっとほのぼのしたり、切なくなったりしながら楽しく読める。

 多分この町田洋という人はすごく繊細な感性をもってる方なんだろうなと思う。絵の感じとか、細い線でシンプルに描かれていて、独特の魅力がある。登場人物たちも、基本的には平熱っぽいというか、ちょうど良いテンションの人たちで好きだ。ストーリーも、起伏が激しすぎず、淡々と進むんだけども、それでもしっかりとドラマがあって、個人的には好みだ。

 短編が8つ入ってる。こういう場合、俺はこの話が1番好みだったなと感想をもてる人なんだけど、本作では決められなかった。それくらいどれもよかった。どの話も、忙しく生活してたら忘れたり見過ごしたりするような色々を、思い起こさせてくれるような話だった。

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