町田洋『夜とコンクリート』について
最近漫画ばっかり読んでるんだけど、どれも当たりばかりで嬉しい。本書もすごく良かった。
こないだ読んだ『海辺のストーブ』は、現実味があるというか、生活感を感じるような内容だったと感じた。これはリアリティがあり、共感できて良かった。対して本書は、ちょっとSFっぽい要素が入っていた。この要素が、ストーリーを魅力的にしていると思った。全体として、ほのかに切なさのようなものが漂っていて、俺は好きだった。この切なさ要素が強すぎると、ちょっと読んでてしんどくなるんだけど、その塩梅がちょうどよかった。
ただし、俺が特に気に入ったのは、SF要素のない、最後に入っていた短編だ。学生時代とは変わっていく友達。しかし、あのころの彼の言葉は、あのころの彼にとっては真実だった。すごく共感できたし、自分にとって本作の中で一番切ない場面だった。