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ラブホのオモチャ事情|『ピンクローター下さい』



ラブホの清掃員として働き始めて数ヶ月。


今日は50代くらいの男女が
仲良く手を繋いで入ってきた。


お客さんがタッチパネルで部屋を決め、
鍵を渡すだけのフロント業務は
ラブホ清掃員とは違う業務内容。


人員不足でフロント業務に回る事も多い。

監視カメラで常にお客さんの
入り込み状況を確認して、
直接カップルの顔を見ることができるのは
フロント業務の特権だ。

もちろん、ホテルによっては鍵の受け渡しが
無いところもあれば、


完全にお客さんとスタッフの顔が
見えなくなっているところもある。


その為、完全にお客さんと対面したくない
という人はラブホテルの
フロントマンは向いていないかもしれない。


男女は部屋を決めて、
女性は先にエレベーター前へ。

男性はフロントまで鍵を取りに来た。
すると男性はこう言ってきた。


「あと、ピンクローター1つください」

といって、財布から千円を出し始めた。
フロントの窓口では
アダルトグッズの販売をしていない。


アダルトグッズが欲しい場合は
部屋から電話していただくか、
モニターから注文できるようになっている。


「ピンクローター下さい」なんて
直接いわれる事が無い為、少し驚いた。


でも、その男性も少しは
恥ずかしい気持ちはあったかもしれないし、
勇気を出して言ったかもしれない。

そう考えると性に堂々としている感じが
凛々しく見えてきた。


「かしこまりました。お部屋にお届けします。料金は後払いになります」

と伝え、
そっと千円札を返し、部屋の鍵を渡した。

一緒に来た女性はエレベーター前で
先に待っていたこともあり、
男性の勇気ある言動とカップルの雰囲気が
壊れないような対応を心がけた。



ピンクローター



50代の男女は今からピンクローターを
使って何をするのだろうか。



最初から注文するという事は
何か目的があったに違いない。
一見、どこにでもいそうな
男女がピンクローターを買った。

ラブホのフロントに立っていると、
直接他人の性癖に遭遇する事もあって楽しい。

そして私は注文があった
ピンクローターをすぐに部屋まで届けた。

一個500円で販売しているピンクローターは
アダルトグッズの中でも比較的安く、
購入しやすい。



もちろん他にも様々なアダルトグッズを
販売しているがラブホテルで販売している
アダルトグッズは金額が高い為、
それを知っているカップル達は持参してくる人も多いだろう。


アダルトグッズを持参してホテルに来る事は
性に対して興味があるんだろう。
使ってみたい好奇心や性癖。
それを分かり合えるのは素敵だと思う。

それでも、いろいろな事情がある中で
どうしても持参が困難だったり、
セックスの盛り上がりの延長で
グッズを使う人の為にも
ラブホテルではアダルトグッズを販売している。


ピンクローターを届けた後、電話が鳴った。

「すいません、ピンクローターが壊れているのか動かないので交換してもらっていいですか」

そう。ラブホで販売している
ピンクローターは業務用の為、


一度に100個や200個と
まとめて届く大量生産。
このように購入後に動かない事は
珍しい事ではなかった。

商品を見る限り、簡単に壊れてしまうような
作りになっているのはたしかだ。


原価は1つ50〜100円程でやはり中には
何個か故障品も混ざっていることもある。


しばらく売れ残ってしまい、
劣化で動かなくなってしまった商品も
中には混ざっている可能性もあるので購入後、

このように動かない場合は
新しいものと交換してもらえる。



でも、恥ずかしくて交換して欲しいと
言えずにアンケート用紙の裏側に
《購入した商品が動かなかった》
メッセージを残して帰るお客さんもいる。

私は新しいピンクローターを
抱えて男女がいる部屋まで走った。


その後、男女は2時間程の休憩で退室。


部屋に入ると無事ピンクローターを
使用できたのかベッドの上に
使用済みのピンクローターが置かれていた。


このように安価なアダルトグッズはその場限りで使われ、置いていかれる事が多い。

そしてアダルトグッズに関する
珍しいお客さんは他にもいる。

平日の昼間に珍しく若い男女が入ってきた。
20代前半だろうか、
2人とも高身長で細身の美男美女だった。

全身黒でまとめたモード系ファッションをしたマッシュヘアーの彼氏と流行のミニスカートに厚底ロングブーツを履いた色白の彼女。


若いカップルは滞在時間が長い傾向があるのできっと夕方まで滞在するのかと思っていた。

すると若いカップルが入った部屋から、
すぐにオーダーが入った。


内容はアダルトグッズだった。
若いこともあり、ノリで頼んだんだろう
なんて思いながら、注文があった
ピンクローターとバイブを部屋に届けた。


するとまたすぐにオーダーが入った。
内容はクリトリス専用バイブと
さっきの型番の違うバイブだ。

一体、こんなにも玩具を買って
何をするのだろうか。


いや、する事は聞かなくとも分かるが
ラブホテルでわざわざ高い金額を出してまで
アダルトグッズを購入するなんて珍しい。


さすがに4点も購入するとホテルの休憩料金よりも高い可能性だってある。

もしかすると、アダルトグッズの購入が
恥ずかしい反面、家族と同居している
かもしれない若い子にとっては
購入の難易度が高いのかもしれない。

そういった点で考えると
ラブホテルでアダルトグッズを
販売していると助かる人もいるのだ。


若い男女は計4点のアダルトグッズを購入し、滞在時間わずか60分程で退室した。

アダルトグッズを購入することが
こんなにも大変という事がわかった気がした。


そんな私もアダルトグッズの購入経験がある。

今となっては恥じらいもなく、
ドンキホーテの18禁コーナーに
堂々と入って商品を選んでいるが、

以前はネットで注文をし、
コンビ二受け取りをして買っていた。


アダルトグッズを使う事に
抵抗がある人が多い世の中、
化粧品を選ぶ感覚で
気軽に購入できるようになったら、
セックスもセルフプレジャーも
もっと楽しめるのではないか。


ファッション感覚で販売している、
TENGAやirohaのようなブランド化している
アダルトグッズもあるので
一度手にとって貰いたい。

公式のインスタグラムでは
ライブ配信でスタッフさんが
商品の説明もしているし、本当に面白い。

今日も日本中のラブホテルでたくさんのアダルトグッズが売られている。


ホテルによっては部屋の中に
コンビ二BOXと呼ばれる、
中身の見える多目的自動販売機が
設置されている所もある。

なので直接どのような商品なのか
知ることもできるし、誰にも見られず
商品を直接見て購入できるメリットもある。


なのでアダルトグッズをバレずに
購入してみたいと思っているカップルは
ラブホテル選びの際、おもちゃの販売がある
ホテルを選ぶといい。


そして、性に纏わる事がタブーな世の中だが
もっと性に自由で開放的な
社会になることを願っている。


-ほてるちゃん-

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