【助産師監修】昔と違う?育児の今昔比較
育児生活がスタートした後に、ご両親や義両親のサポートを受けて育児を始められる方も多いかと思います。そんな時によく耳にするのが、ご家族から「昔はみんなこう育てたの」とか、「私の頃は助産師さんにこう教わったよ」と言われるケースです。病院や地域の医療従事者のアドバイスと、こうした親世代のアドバイスが食い違うことで、混乱したり不安に思うお母さんがいるのも事実です。
もちろんご家族も育児の経験や人生経験から、貴重なアドバイスをしてくださっている場合もありますが、医療や育児に関するセオリーは日進月歩で変わっています。
そこで今回は、よくある今と昔の育児法の違いについて、現役助産師が解説していきます。
🍓"抱き癖"はつく!?
そもそも"抱き癖"とは、1940年代にアメリカで登場した「子どもの自立を促すために、泣いても抱っこせずに泣かせたほうがいい」とする理論で、日本では1960年代に広まった考え方です。この頃子育てをされていた世代の方々の間では、抱き癖がつくという考え方が当たり前だったのかもしれませんね。
今の育児法では、赤ちゃんの欲求に合わせて抱っこをしながら、自然な触れ合いをしてあげるのが良いとされています。
ただし、最近話題のねんトレ(ねんねトレーニング)では、いつもお母さんに抱っこや授乳された状態で眠りにつくことが赤ちゃんの習慣になってしまうと、抱っこや授乳がないと中々眠れないようになってしまうという考え方も出てきています。
この場合は、抱っこのかわりに声掛けやトントンをしてあげたり、睡眠リズムの調整を行ったり、寝るまでの生活習慣を整えて入眠しやすくしてあげることなどで、対応できるといわれています。
🍓ミルクの方が栄養がある!?
昔は、粉ミルクを飲ませた方が赤ちゃんがよく育つと言われていました。しかし現代では、母乳には赤ちゃんにとって炭水化物、タンパク質、脂肪分などの必要な栄養がたくさん含まれている事が分かっています。また、免疫物質が豊富に含まれていることで、赤ちゃんを感染症などから守る作用もあります。
このような大切な成分がたくさん含まれているのにもかかわらず、母乳は赤ちゃんが消化しやすく、消化・排泄機能がまだ未熟な赤ちゃんにとっても負担なく飲めるのもポイントです。
ただし、母乳には不足しがちな鉄分や、一部のビタミンなどは粉ミルクの方が摂取できるというメリットもあります。しかし、これらの栄養素は、離乳食で補うこともできますので、必ずしもミルクの摂取をしなければならないということではありません。
🍓おむつはずしは1歳まで!?
かつては1歳くらいまでにおむつを外すのが目安とされていました。
今は、「トイレトレーニング」と言って、子どもの成長発達や排せつリズムに合わせたおむつ外しが推奨されています。
トイレで排泄をするためには、子どもが便座やおまるの上でしっかりと座った姿勢を保てる運動機能や、大人の真似をしたり、大人の問いかけに「うん」「いや」といった受け答えができることばや社会性の発達などが必要になってきます。
これらの機能発達は子どもによって個人差が大きいので、トイレトレーニングを始める時期もばらつきがあります。一概に、年齢にとらわれる必要はないと考えられています。
🍓離乳食前に果汁をあげる!?
2008年以前に発行された母子手帳には、生後3~4ヶ月の赤ちゃんの成長記録を残す欄に「薄めた果汁やスープを飲ませていますか」という記述がありました。現在この記述は削除されています。
昔は、粉ミルクの栄養が少なく、ビタミンなどが不足していたため、果汁からビタミンを補おうとしていたようです。現在は粉ミルクの栄養が豊富になってきたので、その必要はないとされています。
今回は、よくある今と昔の育児法の違いについて、現役助産師が解説しました。育児法に正解はなく、一人ひとりの子どもの成長発達に合わせた寄り添い方が大切となります。「うちの子にはどうしてあげたらいい?」「こういう場合はどうしたらいいの?」と気になった方は、是非HOTEL CAFUNEの助産師・保育士スタッフにご相談してみてくださいね。