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本のデザインをさせていただいた(追記あり)

前回のしおりデザインから数か月後、同じく憂理さんのご本の装丁もやらせていただいたのでこちらも備忘録として書き残します。

デザイン作成の過程だけ見たい方は「使用する紙などの決定」からご覧ください。

相変わらずギリギリでの戦い

前回、「ご本の装丁やらせてほしいです~」というおねだりをした結果、5月の新刊の装丁も任せていただくことになりました。ちゃんとやりたいことは口にすべきですね。
それはさておき、自分も5月は本を出す予定だったため、頭にちらつく【締め切り】の文字。ただこの時点ではまあ、なんとかなるだろうという相変わらず根拠のない自信が強く不安はわずかほどしかありませんでした。
3月のイベント後になんとなく打ち合わせをして、数日後に来たしおりのご報告頂いた際に使用装丁候補を連絡することを約束。

使用する紙などの決定

4月上旬に使用する紙や加工の候補をリストアップ

・ホログラムペーパー
・箔押し
・エナメル加工
・カッティング

この4種についてそれぞれ提案。(今回は内容のスクショは割愛)
前々から憂理さんの本をキラキラさせたいと思っていたので、ホログラムペーパー選んでいただけて実はとても嬉しかったです。また、ホロセット使いこなしているからと選んでくれたことにも喜んでしまったんですが、使いこなしているかは不明です。(天金加工の本をつくった時のカバーの印象のせいかな?)

試しに、選んだ仕様での締め切りを確認してもらったところ、4月中旬より少し後ぐらい、という日程が出て来て……この時点で私の原稿はほぼ白で、自分の締め切りも21日だったたので、正直大丈夫かな、という不安が流石によぎりました。
でも、何としてでも装丁やりたかったので、三日間でのデータ作成をすることに決定。
前回から何一つとして学んでいないですね。ちなみに、憂理さんはこの時点でほぼ初稿が上がりそうな状態でした。流石優秀です。

デザイン候補作成

翌週すぐに背幅について連絡があり、スペースの番号が出ました。自分の原稿はぜんぜん進んでおらず死にかけました。自業自得なのでそこは置いておいて、火曜日には原稿が送られてきました。あらすじまで添えてくださって、原稿地獄の私への配慮がすごい!
送られてきた本文も読みつつ、デザイン組む際はあらすじを参考にしつつ。

・3月時点でのモチーフ入れ込みについては「音符・楽譜」なので入れ込み
・舞台もポイントな気がしたので、舞台モチーフは入れたい
・話に出てきたモチーフも入れたい
・話の暗さを気にされていたので、かわいくありつつも落ち着いた色味と雰囲気

こんな感じでデザイン仮組しました。

因みに、仮組よりも前に出先で適当に組んだものが下の画像です。

出先で適当に組んだにしても限度があるデザイン

酷いですね。
色味自体は一押しのくすみカラーだったので後程使用しますが、適当に組むと本当にひどい。

その夜、表紙デザインを2種類、6色カラーと依頼事項を送りました。(前回から何も学んでないポイント2)ついでに言われてもいないのに目次も仮組したものを送ってます。
いつも青系が多いと言っていたので、青グレーカラーを入れつつも、他の選ばなそうなくすみ系カラーを候補にあげました。(全てのカラーバリエーション画像は載せませんが、二種類だけ画像載せます/掲載許可済み)

候補デザインとカラーバリエーションの一部
こちらもカラーとバリエーションの一部(スクショの為変な途切れや選択線あり)

事前に内容を聞いていたのと初稿をいただいていたので、すんなりデザイン組できました。というか楽しくてぜんぜん手が止まらなかった。
本当に初稿が最高だったので最初から楽しく考えることができ最高でした。

デザイン選出、細かい調整

翌朝、依頼事項とカラー、デザインへの返信有。
カラーは上記にも載せた、一押しの紫になりました。嬉しい。
ただデザインは予想が外れたので悔しかったですが、ここで何となく憂理さんの好む傾向がわかった気がしたので、結果良かった気がします。

音符の色を気にされていたので
・音符カラーチェンジ
・カーテンの色替え
のバリエーション作成行いました。
(今回はそのままという指示で変更なしになりました。)

また、表紙デザインが決定したので中表紙も作成。
こちらは手に取って見ていただきたいので、あえて画像は載せませんが2種組みました。

・表紙をそのままにしたもの
・物語の始まりに合わせた温度のデザイン

2番目のものを選んでいただいたのですが、今回の中で1番のお気に入りポイントなので、ご本をお手に取った方はぜひ見てみてください。
(この文章はご本を手にする前に書いたのですが、私がぽつりと零した遊び紙を入れていただいて……遊び紙越しの中扉めちゃくちゃかわいいです)

この時点で、使用するホロ紙を決定。
それにより、ホロを透かす部分や割合を考え入稿データの作成。
今回初めて使用するホロ紙なので白版の割合を考えるのが大変でした。
カーテンも影とそうでない部分の白版の濃度を変えたり、落ちてくる紙ごとに濃度設定しました。白版データの写真は割愛しますが、そんな感じで色々調整してデータ作成。
最後に各章の扉もお話の流れを邪魔しないようにシンプルを心掛け作成し、全データを納品。

3日で全工程が終了しました。

学ばない学び

前回から何一つ学んでいない日程と工程でした。
連日朝から晩まで鬼のような長さの連絡をしてしまい本当に申し訳なかったです。

ただ、
・人様のご本はかわいく作りたい
・憂理さんのご本はキラキラさせたい

この2点はデザイン時点でクリアできたのでそこはだけ良かったです。
ホロの透け具合がかなり色々設定してしまったので、実物がかわいくなるのかが不安なのですが、うまく仕上がってくれるように祈ってます。

という所まで書いていたのですが今はご本手元にあるので画像を載せます。(掲載許可済み)

自然光での写真/ホロのきらめきが柔らかくふわっとしている
自然光裏表紙 音符に乗せた青が見やすい
明りの下での写真 きらめきが強く出て昼と夜とで印象が変わる

最後に、機会があれば次回こそ
【最初に2デザイン提示し、選んでもらって1デザイン完成させる】
【デザイン出し~納品までの期間は2週間とる(試し刷りの時間確保)】
を実行したいと思いました。
本もしおりも初めてだったので、次回は勝手がわかるからできるはず!
ということで再度デザインさせてもらえる機会がどこかであれば嬉しいな~という感じです!それまでに技術力は磨いておきます……


追記
とまあ、素敵なご本に携われた喜びの中、その後も色々データについて相談
したりしたので、本当にデザイナーさんはすごいの一言になりました。今回の件含めて本当に憂理さんには多大なるご迷惑をおかけしたので、私はもう憂理さんに頭が上がりません。

最高ブックスは初版はなくなってしまい、再販されるとの事なので憂理さんのTwitterチェックしてください!

再追記 再販のデータも調整させていただいた

再販するほど好評だったとの事で、さらに理想に近づけるために無理を承知で再販データの調整及び修正を申し出ました。快諾して頂き、初版のデータと現物を見比べながら白版と枠線などの微調整を行いました。
変更点は
・表紙ベース色を少し強めに
・表紙、背、裏の音符の青の色味を出しつつホロのきらめきは出すための白版の調整
・舞っている紙、ペンの白版調整
・枠線、幕の微調整(白版、大きさ太さなど)
・扉の一部修正
こんなかんじでした。

白版のパーセンテージを刻みで変えたのですが、再販はより狙った通りになったため、とてもいい経験になりました。
再販と初版の違いは下の動画や写真をを見ていただければと思います。

初版はホロが強く、傾けると乗せた色が揺らめく
再販は乗せた色が強く、傾けるとホロが揺らめく
大まかな印象の違いはこんな違いです。
自然光、蛍光灯の違いで印象も変わるので本当に面白い紙でデザインさせて頂いて楽しかったです。

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