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不思議な老人からの教え その⑭ 未来を掴め!

そんな、こんなで
人生初の不動産購入をしました。

たら、れば、っていうのは、有り得ないんですが
ハワイに移住していなかったら
毎日、どこかの会社に勤務していて
貯金が貯まった頃に、鎌倉か横浜あたりの
マンションをローンで買っていたんだろうなあ。

いや、不動産購入なんて考えもしなかったから
賃貸マンションにずっと住んでいた可能性が高いです。

それが、人生の流れって面白いですよね。
その流れに逆らわず、泳いで行くうちに
ハワイでコンドミニアム購入となったのです。

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コンドミニアムの引き渡しの日が来ました。

不動産エージェントの韓国人のオバサン ヘイジャ と
現地で待ち合わせをして
部屋の中や、駐車場、ゴミ捨て場、ランドロマット、そして
プールを一緒に見て歩きながら一通りの説明を受けました。

そして、最後にオバサンは、

「 any questions? 」

と言うので、僕が No  と答えた瞬間
家の鍵を3組手渡してくれました。

鍵は、ドアキー、デッドボルトキー、ランドロマットキー、プールゲートキー、ストレージキー、とたくさんあった上に
それら同じものが3組あるので、受け取った時
妙にずっしりと手のひらに重みを感じた記憶があります。

オバサンが帰った後、一人で部屋の中を再チェックして
ここに、何を置き、ここにラグを敷いて。。。
なんてイメージをしていました。

僕が購入したユニットは、2階の部屋です。
車を建物の真ん前に停めて、階段で2階まで上がります。

間取りは、2ベッドルーム(日本で言う 2LDK)でした。

日本人は、
新築の高層タワーマンションが好き
と言う人が多いと思いますが、僕は全く逆の行動を取っていました。
昔から、いつも人と違う行動ばかりする性格なのです。

この建物は、1960年代に建設された
超古い、低層のコンドミニアムです。
コンドと言うより、どっちかと言うとアパートです。
このボロいアパートが
16万5千ドル(現在の為替で約2,500万円)もするのか。。。
果たして、死ぬまでにローンを支払い切れるのかな、と心配でした。

古い建物だった事と、支払いの不安こそありましたが
初めてのマイホームを所有した、という喜びは、今も忘れられません。


カネオヘからダイアモンドヘッドまで
自分の車で数回往復し荷物を運んで、引っ越しを完了しました。
山根さんとの2人暮らしから
静かなダイアモンドヘッドの一人暮らしに変わりました。


ご存知の方も多いとは思いますが、アメリカの引越しは
とっても簡単なんです。

その理由は、

通常
大型家具類は、家とセットになっている
と言う考え方が前提にあるからです。

冷蔵庫や洗濯機、食器洗浄機、キャビネットなどは
一軒家でもコンドミニアムでも、新築時に既にセットされています。
そして、オーナーが、その不動産を売るときも
それらは、置いたまま売ります。

賃貸も、そうです。
コンドミニアムの部屋を借りる際には
冷蔵庫や洗濯機、食器洗浄機、キャビネットなどがセットされた状態です。
場合によっては、ベッドやテーブル、カウチ、食器類なども
全て揃ったままで貸し出している事も多くあります。

なので、
借りる人は、PCや服と私物をマイカーに載せて
さっ と気軽に引っ越せます。

よく、不動産広告に書かれている

「 Just Bring Your Toothbrush 」

(歯ブラシだけ持ってくれば、すぐ住めるよ)

と言う案内文面に、その意味がよく現れています。

日本では、賃貸マンションを借りる時は
冷蔵庫から洗濯機から、何から何まで買い揃えないといけないし
また、退去時には、それらを搬出して部屋を
綺麗に空っぽにしないといけないと言う、そういう慣習があるので
引越しは、とてもお金がかかるし、大変ですよね。


静かなダイアモンドヘッドで一人暮らしを始めて
数週間経ったある日
山根さんから電話が来ました。
彼はインターネットを使えないので
連絡手段はいつも電話です。

彼は
「 新生活はどうだ? 」 
と話し始め
僕の部屋を見せて欲しいと言うので
もちろんOKをして、翌日の朝に山根さんと
うちの前で待ち合わせました。
Kanaina Ave は、ダイアモンドヘッドの裾野に向かって行くと
行き止まりになります。
なので車は路肩に簡単に停められます。

翌日朝。

山根さんは、うちの前の山裾に車を停めて降りてきました。
僕は下まで降りて行き、階段を上がり
自分のユニットに案内しました。

彼は、
「いい部屋だ」 とか、「おめでとう」とか
そんな言葉は一切言わず、しばらく部屋の中をうろうろした後
カウチに座って、何を言うのかと思ったら

「ここは、いくらで貸せる?」

といきなり言いました。

僕は、

ここに死ぬまで住むのかな。 
と言う感覚だったので
貸す気はありませんでした。
なので、いくらの家賃で貸せるか?
なんて考えてもいなかったんです。

そして彼が、又
ぼそっと言いました。

「俺も3個買ったよ」

僕はびっくりして、聞き返しました。

「ここのユニットを、3つ買ったんですか??!!」

すると彼は

「いや、真ん中のやつだよ」

と言いました。

なるほど、どうやら
サークルの中心に建っている
ダイアモンドヘッド レイラニ を 3ユニット買ったようです。

「えーー、山根さん水臭いじゃないですか。
全然知りませんでしたよ。 」

と僕が言うと

「 5個買うって言ったら、エイジェントから
一人の名義で5ユニットは買えない。と断られて
結局3つだけ買うことになった。
家や車を買う時には、絶対に人に言うもんじゃない。
それを言ったところで損をする事は多く
得をする事は一つも無い。
この辺りは、これから必ず価値が上がって行くエリア。
と、自分の思い描いた金額を念じて、そして信じて待て。
そして売り飛ばせ。そうやって未来を掴め。
俺は当分は、3つのユニットを貸して賃貸収入をもらいながら機を待つ。 」

なんて彼は言ってました。

その頃は、まだまだ
僕は山根さんの感覚に追いつけていなかったんだなーと
今になって考えるとよくわかります。

その後、2年くらいの期間
僕は、 『 ダイアモンドヘッド ラナイ 』 
で暮らして行くことになります。

記憶がはっきりしませんが
確かそれは、1990年代の終わり頃の事だったような気がします。































































































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