かつてのバイト先がなくなる話
これは先生の備忘録的なものなのですが、かつて先生は東大阪にある小さな映画館でアルバイトしてました、という話です。
8回建ての建物に奇数階がスクリーンのある劇場で、偶数階が事務所や倉庫になっている映画館でした。シネマは7番まである結構ちゃんとしたところです。
トイレはそのフロアの映画がスタートしてお客様が落ち着いたら毎回必ず掃除していて清潔だったし、劇場の掃除も売店の掃除も毎回してたし、コーヒーやドリンクの機械は1日2回しっかり洗うしなんなら毎上映後水洗いもしてたからすごくしっかり綺麗にしてたな。
上映している映画はその時々の契約で変わりましたがメジャーなアニメ作品(ドラえもんとかしんちゃんとか)もやっていて、アルバイトしている時は話題性のない作品ばっかりの時は全然お客さん来ないな〜でもちゃんとやってけるんだなと思いました。
まあ、今月の末で潰れることになったんですけどね。
色んなアルバイトをした先生が1番長く勤めたし、一瞬フリーターをしていた時もここで働かせてもらったし、接客が好きで映画も好きな先生にとってはとても楽しいアルバイトでした。
掃除やこまめな手指消毒、空き時間が多いからこそできる仕事を探してスケジュールを組み立ながら動くなどの習慣はこの時にだいぶ身についたんじゃないかな。
ポップコーン作るマシンで手を結構深めに火傷したこともあったし(まだ痕が残ってる)、変なお客さんに絡まれたこともあったけど嫌だなって思うことは勤務時間が変則的なことくらいだったかな。おかげで22:50上がりに食べるラーメンの味を覚えてしまったよ…天一こってり…。
繁忙期になると社員さんがポケットマネーでお菓子いっぱい買って休憩室に置いてくれたり、お正月三が日は出勤したら特別手当に500円くれたし、社員さんがすごく腰が低くて穏やかな人ばっかりだから対人のトラブルも全然なかったな。
思い返せば色々楽しかったな…ってことばかりなんですが、あの当時から建物はあちこちボロが出てたなって。
雨漏りもあったし地震や台風で建物がダメージを受けて工事したり、空調設備が壊れて突貫で治してた。
お客様に迷惑がかかることだけは避けながら少しずつ少しずつ故障したものは直して運営してたけれど、多分老朽化に対して売上が全然届かなかったんだろうなと思う。
映画館って、「こんだけお金払うんでこの映画上映してください」ってお願いされて映画を回してるんですが、そんなものは人件費で余裕で消し飛ぶわけで。
それ以外で売上が入るのって売店なんですよね。
ポップコーンが塩とキャラメル、それとカレー味のスナック。サイズは3種類で、Sが150円、Mが300円、Lが400円。Lサイズだけハーフ&ハーフにできたな。
ドリンクはこれより50円安かったかな。
コーラとメロンソーダとカルピス、オレンジジュースに烏龍茶、紅茶はホットとアイス両方あってコーヒーはホットのみ。
アメリカンドッグと唐揚げとビール、クレープアイス、するめいか、バウムクーヘン。
未だになにがだいたいどれくらいの値段だったのか覚えてるし商品ラインナップもこんなもんだったかな?
でもこんだけあってもやっぱり売店のものってあんまり売れないんですよ。売れる時はちゃんと売れるけど、特にこの映画館では館外のところで買った食べ物は特に持ち込み禁止にしてなかったから持ち込みも多かった。
そもそも映画を見に来る人が減ったから売店の売上もさほどなかったんじゃないかな。映画館の運営をしてる社長は他の事業もしてたからそこから補填してたって噂も聞いたし。
昔は本館と別館に別れてたくらい栄えてたのに、今は平日昼間のヒット作に30人入らないくらい。
みんな余裕がなくて、娯楽や文化にお金が割けない時代になったんだなあって思った。まあ映画館でわざわざみない人間も増えたのかもだけどね…。
私があそこで得たものは多かったし、未だに無くなることが信じられないような気持ちでいる。
それでもあと2週間であの私の大学時代に学校よりも楽しいと思っていた場所は無くなってしまうんだなと思うと胸がすぅすぅするような寂しさが溢れてくるなあ。
みんな、好きなところには憂いを残さないようにちゃんと行っておこうね。
私は仕事はじめてから映画見る余裕なんてなくて全然行けてなかったのを絶賛後悔中。
そして、もう最後が近づきつつあるこの映画館に少しでもいいから足を運んで欲しいな。今は名作映画を日替わりで流したりしてるから、「あの作品がまたスクリーンで見られるなんて!」っていう感動が待ってるかもしれないから。
一緒にこの終わりを楽しんでね。
ちなみに先生はプロメアの応援上映のチケット死ぬ気で取りました。プロメアはいいぞ。
そしてバーフバリも伝説誕生/王の帰還 両方やるので見てね バーフバリはいいぞ。