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猫が来た。猫はオレンジ色のトマトを自慢される🍅🍽
近所の「新鮮野菜直売所」で、珍しいトマトがあったんだって。オバはんは「柿じゃないよ、トマトだよ」と言いながら見せてくれた。
思った通り、オバはんは「あさりちゃんも食べようよ」と躊躇なく猫にトマトを勧めてくる。どうやら、トマトは赤いものが普通らしく、オバはんはかなり盛り上がっている。「オレンジ色だよ、オレンジ色。こんなの初めて見るね」とはしゃいでいる。「あ! 食べる前に写真、写真」
「おおっ! 中までオレンジ色だ!」
まあ、そうだよね‥‥
3日後、オバはんは浮かない顔で買い物から戻ってきた。「どうしたの?オバはん」と声をかけたのに、無視された。聞こえてるはずなのに。何よ!いつも静かにしてほしい時は、ガンガン話しかけてくるくせに。
すぐに不機嫌の原因がわかった。近所のスーパーにズラっと「オレンジトマト」が並んでいたらしい。オバはんは、オレンジ色のトマトの写真を撮ったり、友だちにその写真送ったりして喜んでたのにね。「世にも珍しいトマト」だと思ってたんだよね、きっと。
「こんなにトマト一個で盛り上がる人も珍しい」と思ってたんだけど。とにかく、オレンジトマトの周りでスマホ片手に踊ってたからね、このオバはんは。
トマト売り場の前でかなり長い間ショックで立ちすくんでいたオバはんは、オレンジトマトに別れを告げ、赤いトマトを買ってきた。
立ち直りも早い。
「はい、チキンのトマトソース煮」だって。