日本画が初めての人も楽しめる!眼前に広がる荘厳な滝【現代日本画家 千住博】(軽井沢千住博美術館)
はじめに
恥ずかしながら、私は日本画には全く詳しくなく、とっつきにくいというイメージを持っていました。浮世絵などは素敵だと思うものもあったのですが、よくわからないと思ったこともあります。また、あまり日本画にパワーがあるというイメージはなかったのです。
ところが、そんな固定観念を覆すのが軽井沢での千住博氏の作品との出会いでした。
千住氏の日本画は、日本が特有の余白やリズムを残しながらも、現代的なパワーを感じるのです。
一目惚れし、部屋の端から端まで伸びる大きな絵の前で長い時を過ごしました。
そんな千住博氏について、こちらの記事では紐解いていきたいと思います。
千住博氏のプロフィール
千住博 (せんじゅ・ひろし)
日本生まれ。ニューヨーク在住の画家。
崇高で巨大なスケールの滝や崖の作品で世界的に知られている。抽象表現主義に根ざしたミニマルな表現と日本古来の絵画技法を組み合わせた作品を制作している。
経歴
1958年 東京都に生まれる
1982年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
1995年 ヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で東洋人初の名誉賞を受賞
2010年 羽田空港(東京国際空港)新国際線旅客ターミナル並びに拡張した第2旅客ターミナルのアートディレクションを担当
2011年 軽井沢千住博美術館開館
2020年 高野山金剛峯寺障屏画を奉納
2021年 出雲大社へ「滝」三点を奉納
その他、各地での個展の開催、瀬戸内国際芸術祭への参加など多数
代表作品
1. 『滝』『春夏崖図』『秋冬崖図』(2013)
こちらは、京都の大徳寺聚光院(じゅこういん)に奉納された襖絵です。
2016年に初めて一般公開され、その後何度か特別公開で見ることができるそうです。
常に見られるわけではないのでご注意ください。
公開されている時期に合わせて京都を訪れたいですね…
2.『ウォーターフォール』(1995)
ベネチアビエンナーレにおいて絵画部門で名誉賞を受賞した作品です。
その後シリーズとして続くウォーターフォールですが、画面の上から実際に流し落とした絵の具や、スプレーガンで散らされた絵の具の飛沫などにより滝の荘厳さ表現しています。
3.「四季樹木図」(2008)
千代田線赤坂駅3番出口のエスカレーターにある壁画です。あの大塚国際美術館の複製絵画にも使われている大塚オーミの陶板の技術ですね。
なぜニューヨーク在住なのか
千住氏は「日本文化とは何か」を探るため、そしてそれは他との比較でしか分からないと考えたため、なるべく多様な文化が同時並列しているところへということでニューヨークへ赴いたそうです。
また、その探求の結果以下のように日本文化について語られています。
千住博作品が見られる美術館はどこ?
初めての方におすすめ!軽井沢千住博美術館
千住氏の作品や美術についてそれほど知識もないよ、という方にもおすすめなのが軽井沢の千住博美術館です。
実際に私も前述の通り、全く千住作品について知らないけれど近くにあったから寄ってみたという感じでした。
なんといっても作品が素晴らしいというか、ここに行くと作品を目の前にした感動や迫力が凄いのです。
言葉にすると陳腐に聞こえてしまいますが、千住作品のためだけに西沢立衛氏が設計したこの空間、そして軽井沢という場の静けさも相まってとにかく五感全てで作品を感じることが出来ます。
同館のオープンに際し、千住氏は以下のように語られています。
また、設計を担当した建築家・西沢立衛氏は、豊島美術館、そしてユニットのSANAAとしては金沢21世紀美術館等の設計で知られる方です。
千住博美術館の設計の意図を以下のように述べられています。
その他の美術館
・北海道立釧路芸術館(北海道)
ウォーターフォール / 1998(作者寄贈)
・フジヤマミュージアム(山梨県)
流星 / 2004
・ベネッセアートサイト直島(香川県)
空の庭 / 2009
こちらは時の経過によって背景の色が変化していくという独特な作品です。
なぜ色が変化するのかと言うと、背景があえて銀泥を使って描かれているためだそうです。
・新潟県立万代島美術館(新潟県)
waterfall / 2000
参考サイト
千住博公式サイト
TBS RADIO
Pen Online
カバー画像出典:KKH Bridge(24mの大作《Ryujin(龍神)Ⅰ・Ⅱ》千住博。Photo: Sundaram Tagore)
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