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第40回イベントレポート『地上の風が動けば、土中の水も動き出すのか?!』

2022年5月26日、大安。

暑すぎず寒すぎずの春曇の下、初参加の方お二人を迎え、総勢10名で森に入りました。

ホタルを呼ぶための手入れを続けている沢は、上流に向かうと幾筋もの流れが枝のように分かれています。この流域全体では大きく5本に分かれているため、便宜上いちばん右を一ノ沢、左へ分岐する毎にニノ沢〜五ノ沢と呼ぶことにしました。
数年前から、折り重なって行手を塞いでいた倒木をどけて人が入れるようになった沢や、未だ未開で上流まで登れない沢もあります。

3年前の一ノ沢(森の仲間内ではカナタ沢と呼んでいます)の様子

今回のイベントでは初めて、ふた組に分かれて手入れを行いました。
未開の五ノ沢を上級者コースとして〝風組〟の3人、何度も入っている一ノ沢の先を初心者コースとして〝土組〟の7人を編成しました。

五ノ沢、まずは人が入れる道を通す

沢を塞ぐ倒木は少ないものの、普段は水が涸れているため灌木が生い茂り、沢伝いに登ることが困難な状態です。
よく目を凝らさなければ、谷になっている地形がわからない程、アオキや蔓性の植物が多い被さって、空も見えなくなっている未開の沢です。

ビフォー

まずは身体ひとつ通せるだけの風穴を開け、

先鋒、M.Hさん

続いて払った枝を脇に片づけながら後を追い、

次鋒、A.Hさん

次に、枝をボサ置きしたり、しがらみにして仕上げながら、連携した造作で進みます。

大将、M.Uさん

人が通った後では、空が見え始め、地上に陽の光りが降りて来ます。

谷の地形が、くっきりと姿を現しました。

アフター

風組三人の話では、尾根まで道を繋ぎ、風が通るようになった後、登る時には涸れていた箇所に、降りる時には水が流れていた!、とのこと。

自然の営みの、神秘的な出来事のようです。
今後は計画的に検証していきたいと思います。

踏破!
夏の高尾は音楽だ!恩方歌劇団⁈風組の面々

風組の活動の様子は、こちらを是非ご覧ください


二ノ沢、澱んだ水に命の息吹きを

最初の分岐点を右に登り、一ノ沢の先、二ノ沢と三ノ沢が合流するあたりに、小さな沼のような水の溜まりがあります。
前回、ここの水から腐敗臭がしていたので、土組7人で改善のための造作をすることにしました。

ビフォー

小さな水溜まりですが、周囲から流れ込んだ土が堆積し、水底に泥の層が出来ています。

このすぐ脇は急な斜面で、雨のたびに柔らかい土が流されているようです。

まずは溜まった泥を浚渫し、

倒れて沼に刺さっている木を抜いて、

動き出した水の流れをつないでいると、、、

「泥が動いてる〜〜〜!」

との声を聞き、駆けつけてみたら、

ヤゴです。
女の子の指にしがみついて、ヨチヨチと歩く姿がなんとも可愛らしい、トンボの赤ちゃんです。

その脇の斜面も手入れして、

点穴の造作。
詳しくは第36回のレポートをご覧ください。


掘った流れがすぐに埋まらないよう、土留めのためのしがらみをつくったら、

まるで宝塚歌劇団の如く、見目麗しき土組の面々

二ノ沢の入り口が気持ち良くなりました

さらに上流の三ノ沢では、岩から水が染み出していました


ランチタイム♪

お昼ご飯は、沢の分岐点に去年つくったベース基地でいただきました。

この日は別の団体の子どもたちが森に入っていて、遠くから時折りサルの鳴き声のような嬌声が響いて来るなぁと思っていたのですが、、

サルでした!
頭上10m近い高さの所の倒木を渡っています。

40頭近い数のサルが、スゴい勢いで次々と丸太の橋を渡って行きました。
老若男女、渡り方も個性的で、猛ダッシュしたり、恐る恐るだったり、中には背中にしがみついた小っちゃい赤ちゃんも!

ちょうど集合写真のタイマーをセットした時、いち早くハンターのYクンが発見(冒頭の写真)。
最後の一頭(ボスザルかな?)が悠然と渡り終わるまで、しばし大コーフンの一同でした。

やっと落ちついたところで再撮影


一日のふりかえり

作業を終えて一日を振り返り、今日の感想を分かち合いました。

参加された方々の声

土組
♡ R.Mさん(女性)
「久しぶりの参加でした。淀んで沼みたいな所でも、ちょっと穴を掘って道筋をつけるだけで水が動いて川になるんだなーとビックリしました。ヤゴもいたりして色々と楽しかったです。サルの群れが頭上を移動してくのを見れて大感動でした」

♡ M.Tさん(女性)
「山が大好きなので、今日一日ここに居るだけで、生き返る感覚がありました。山で作業をするのは初めてでしたが、自然の営みに触れることができ、人の手が入ることでの変化も感じることができました」

♡ C.Yさん(女性)
「まるでモンキー・ショーのようなサルの群れを今日初めて観ました。森の広さを実感し、やってもやっても終わらないけど、コツコツ参加していこうと思いました」

♡ C.Tさん(女性)
「初めての参加で、自分のやってることが役に立ってるのかと疑問に思いましたが、色いろと教えてもらって、こうやって森が生き返っていくんだ!、というのが分かって良かったです」

♡ A.Sさん(女性)
「沢から戻る時、今日ほんのちょっとやったことが、ちょろちょろと水の流れになっていて、その流れが、いずれ繋がるんだと思えて感慨深かったです」

風組
♡ M.Uさん(男性)
「森を感じる時間が良かった。皆んなの視点の違い・感覚に違い、分業が良かった。3人一組が良いバランスだなと思いました。贅沢な時間でした」

♡ A.Hさん(女性)
「今日は水の循環を考えながら〝つながる〟ということをテーマに造作をしてみました。土から風が水を呼んで繋がっていると思えました。二班に分かれたけど、ひと回りして最後につながることが出来て、とても良かったです」

♡ M.Hさん(女性)
「朝活からの流れを他の方とも共有できたのが良かったです。沢でヤブになっているところ、身体の中の詰まりのよう感じられたところでは、全部やらずに突破口だけつくることで次々につながっていくことを経験できた。〝目の前の一枝を払う大切さ〟を発見し、対処療法も根源的な治癒力を働かせるきっかっけになるなら良いかもと気づいた。その時にできる目の前の一歩をやることの重要さと、皆んなが集まるからこそ出来ることの重要さが解りました」

主催者ふりかえり

「今回のイベントでは初めて、ふた組に分かれて完全に離れたエリアで活動をしました。会の旗揚げから三年目にして、やっとイベント運営でも新しい体制が出来てきたのを感じています。
そのことに呼応してか、新たな生きものとの感動的な出会いもありました。昨年は沢で初めてアメンボを確認し、今日はヤゴ(トンボの子ども)を初確認。幼い頃に多大なる影響を受け、今も私の原動力ともなっている『手のひらを太陽に』の2番の歌詞にまで、会のステージも移行した心持ちがしています。今後も私たちの〝友だち〟である生きものたちが、この森に増えていって欲しいと願いました」

今回のエンディングはこの曲を。
多くのアーティストがカバーしてますが、私は聴いてて不覚にも号泣してしまったこのバージョンを個人的に推奨します。

↑ クリックするとエンディング曲が流れます♪
約8分の動画で、前フリが5分30秒あります


参加していただいた皆さま、本当に一日お楽しみ様でした。
ホタルさん、そして活動に興味を持たれた方は、是非一度、森に来てくださいネ!!

今後の活動予定

◎ 現時点で決まっている今後の予定は、

6/19(日):1年の成果を観察する
6/28(火):新しい造作の実験
7/7 (木):水を動かすための特別講座(講師に後藤めぐみさん招聘)
7/30(土):沢流域の広葉樹林探検調査(クワガタいるといいなァー!)

です。
8月以降の予定は決まり次第お伝えしますが、ご希望する日時・曜日等ございましたら、どうぞ気軽にご連絡ください。
一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。

協力感謝

『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』は、任意団体です。

公益社団法人 国土緑化推進機構の支援を受け、緑の募金事業として活動して参ります。

さらに、2021年4月からは一般財団法人セブンーイレブン記念財団様の〝環境市民活動助成〟の助成を受け、活動を推進していくことになりました。

ありがとうございます。


#森

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