カルロス君との会話
こんにちは、バルセロナ在住の川口ほたるです!
今日は私のパートナー・クリスの友人カルロス君が訪ねてきて、簡単な午後の軽食を一緒に作りながらビーガンについての話をしました。その時の会話がとても印象深かったのでシェアしたいと思います。
カルロス君はおなかがすいたといってキッチンへきてボカディオ(スペインの軽食。バゲットをくりぬいて作るサンドイッチのようなもの。)を作りに来ました。ハモン(スペイン生ハム)とトマトの果汁で作るシンプルでカタルーニャ伝統のメニューを作る彼の横で、私はビーガンミートを使ったボカディオを私とクリスの分を作っていました。
カルロス「君たち二人ともビーガンなの?」
クリス「ほたるはビーガン、俺はビーガンになろうとしているプロセス中」
そうすると、ぺろりと自分のボカディオを平らげたカルロス君は私にいろいろ質問してきます。
カルロス「その黒いクリーム何?昔キッチンで働いてたことがあるけど、見たことないよ」
私「タヒニネグロだよ(黒ゴマペースト)。おいしいよ~」
カルロス「ビーガンになって長いの?」
私「クリスマスとか行事の時にチートするときはあるけど、2年ぐらいかな」
カルロス「僕もビーガンになりたいとは思ってるんだ。自分では今は肉は全然買ってなくて、でも卵やチーズは食べてるからベジタリアン。友達がピザをふるまってくれたりしてそれにベーコンが乗ってたら食べちゃう、という感じ。動物産業の実態を考えると、ビーガンになりたいなって思うけど、まだ完全にというわけにもいかなくて、少しずつ、ベジタリアンを経て、ビーガンになろうと思ってる」
私はそれを聞いてとてもうれしくなりました。
私「私も過程を経てビーガンになったし、もっと厳格な人たちは砂糖も一切食べないんだって。精製プロセスの過程で牛の骨のパウダーを使うから。私はまだそこまで行けてないけど、でも大事なのは産業の実態に異議を唱える気持ちと、自分の倫理観を実践する努力だと思うから、カルロス君と同じで少しずつ少しずつ砂糖をへらしていけばいいかなと思ってる」
カルロス「精製砂糖がノンビーガンとは知らなかった!僕も、自分の行動に意識的になることが大切だと思ってる。あとは知識を付けて、大好きな卵料理をビーガンで代替できるようになること」
ビーガンの活動家の中には、「週末ビーガン」はビーガンではない、とか、ちゃんと全部してないと「ビーガニズムをちゃんと理解してない」だとか批判する人達がいます。しかし、私たち人間は、正しいと信じていることと行動がそぐわないということがよく起こりうる、矛盾に満ちた面倒くさい生き物なのです。なので、『実践していない』からといって、必ずしもその人が思想を理解していないとか賛同していないとか批判するのは間違っているし、一人ひとり事情は違います。大事なのは、今の自分の状態をちゃんと直視すること、自分の心に正直に正しいと思うことを信じること(例えばお肉を辞められないからといって、自分の心にうそをついて肉食を倫理的に肯定しようとする必要はない)、自分の矛盾も受け入れて、無理のない範囲で解消に取り組むこと(自分の心身の健康のためにね)。そうした地に足の着いた倫理観、いうなれば現実的理想主義のようなものを改めて確認できたカルロス君との会話でした。
思えばバルセロナの人々はこの落ち着いて、俯瞰して、自分の気持ちに正直に、しかしちゃんと全体の中での位置を正確に把握しながら、今ここを生きるのがとても上手です。
「Tranquilla」という言葉を会話の中でみんなよく使うのですが、これは英語でいうところの「Chill out」や「Take it easy」、日本語の「落ち着いて」とか「気楽にいこうや」と近い意味を持ち、平常心とか心の深いところに平和を湛えながら今この瞬間をじっくり味わうようなニュアンスがあります。
ビーガニズムが過激視されがちなのは、とても残酷で許しがたい現実の問題をたくさん背負っているからしょうがないっちゃしょうがないのですが、日々の実践としては本当はもっとピースフルで喜びに満ちた哲学の実践なのです。そして、多くの人が肉を食べて育った私たちの世代のビーガニズム普及は、『ビーガンへの移行』というプロセス自体の魅力をもっと伝えていくことが大事なのではないかと思います。というのも、ビーガニズムが一般化するであろう数世代先の未来の子供たちはもしかしたら、ビーガンとして育くまれ、『肉食からの移行』という試練を得ずして倫理と実践の整合性を得ることができるかもしれず、となると私たち世代が今力を注いでいる普及、移行の努力はそのあとの世代すべてのための努力となる。
そういうことをイメージできると、コロナで沈みがちな世の中であっても、実はいかに生きがいのある時代に生きているかが実感できてくるのです。
近年テロ組織や国粋主義が平和な世の中に体力を持て余す若者たちをいいように洗脳し、破壊衝動をあおるような風潮がありますが、そうした若者たちが情報をきちんとみきわめ、環境問題や社会問題など本当により良い世界のために必要な大変革のエネルギーとなれるよう祈りつつ、私には何ができるだろう、と自問する日々です。
バルセロナに住む日本人アーティストが地球とすべての生き物のためにできること、アイデア募集中!
それでは、良い一日を~
ほたる