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ある老人の溜息と液だれ事情 #9

浮気相手の美幸とは、結婚生活よりも長いお付き合いとなっていた。

子供は僕のところに残って一緒に住んでいる。
彼には彼なりの事情があって、僕のところに残った。
僕からしてみれば他愛のないことだが、彼にとっては一大事だったのだ。
その意思を大事にしてあげたので、僕はしれを受け入れた。

美幸は、息子が僕のところに残って一緒に暮らすことを望んでいるので、そうしていることは承知していた。

美幸は以前に一度だけ、「結婚して」と言った。
だけど僕は明確な返事はしないまま、今日までいる。
美幸もそれからは、もう二度とそれを口にしなかった。

僕は、息子が一緒に暮らすことになったから、結婚を躊躇ったのではなかった。
息子がどうであれ、美幸とは結婚はしなかったはずだと、確信を持っている。 

結婚することを前提としない男女のお付き合いは、しばらく続いた。

息子は小学生の時から全く手のかからない子だった。
なので勝手気ままに一人で生活はできた。
規律ある自由が彼を支えていた。
他人から見ればそれは、放任主義と言われるかも知れない。

言いたい奴は勝手に言うが良い。
規律ある自由と、放任は違う。

手のかからないよく出来た息子のおかげで、僕と美幸は二人の時間を楽しむことが出来た。 

職場が同じなので、当然二人は帰る時も一緒。
とはいえ、誰にも内緒にしているので一緒にいるところは誰にも知られたくな買ったし見られたくなかった。
僕らはいつもそれに注意を払っていた。
渋谷で流暢にデートなどしていたら、職場の誰かの目に触れてしまうかもしれなかったので、いつもドキドキ。

やはり横浜の方が誰かの目に触れる可能性が低いので、そちら方面で会うことが多かった。

いつからだったろうか、もうすでに記憶は薄らいでしまった。

ホテルで戯れることは日常のこと。
ある日、美幸は「毛を剃って」って僕におねだりしてきた。
どうしてそう言うことになったのか、今はもう思い出せない。

全裸の美幸が洗面器と剃刀、石鹸をベッドに持ってきて準備している。
さっさと美幸は自分で準備して、「いいから、剃って、全部っ!」

枕にバスタオルを二重にして、自分の腰の下にスッと当てた。
股を広げて「さぁ、早く」と無言であたかも僕に最速しているよう。

女性の毛を剃ったことなどないので、手つきは微妙。
VIOの順に剃っていくのが無難。
知識はなくても状況からして、その順番で剃って行った。


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