初冬岳沢風景
2010年11月撮影 長野県松本市安曇上高地
岳沢小屋が、岳沢ヒュッテだったころの秋。
今から二十年ほど前。
上高地から岳沢ヒュッテまで登ったことがあった。
岳沢からの穂高は急登の連続で、このルートは下りに使う人が多いという。
岳沢ヒュッテまでなら、大した苦労もなく穂高の迫力ある岸壁を間近に見ることができると思い歩いた。
予想通りの迫力、美しい紅葉は素晴らしかった。
ヒュッテまで登る途中、見覚えのある人とすれ違った。
ヒュッテのご主人だった。
山に行くと一面識もないのに見知った顔に出会うことがある。
ほとんどが山の雑誌やテレビ番組などで見ているからだ。
ヒュッテにはネパール人の小屋番さんがいた。
「ここから上は登るの大変ですよね」と話しかけると
小屋番さんは
「かんたんかんたん」と。
さすがにネパールの人だ。
さらに小屋番さん
「エベレストは何度も登ったよ」
この話が事実なら、彼にとって岳沢から奥穂高なんて、我々が高尾山に登るレベルなんだろうなと感心した(笑)
数年後、岳沢ヒュッテは雪崩に潰された。
その年の春にヒュッテのご主人が亡くなられた。
岳沢ヒュッテは廃業した。
その数年後、別の経営者が岳沢小屋を建てた。
上高地から岳沢を経て前穂、奥穂へ登るルートの貴重な中継点が復活した。
※写真は初冬、話は秋で m(__)m