ニュージーランドで観光まちづくりを考える_text版_ver1.0
いま、2024年7月21日12時過ぎ(日本時間)、ニュージーランド航空のオークランド発成田行きの機内にて、かなり久しぶりにnoteを編纂しています。機内wifiなので画像アップ等は後ほど、ということにしてまずは記憶に残っているうちに、思うことをつらつらと書いてみようと思います。そんな感じなので、後で体系的に整理しなおす可能性が高いですが、鮮度重視ということで。
ニュージーランド入国まで
ニュージーランド入国にあたってはNZeTAという事前手続きが72時間前までに必要になっています。恐らく米国等と同じ仕組みですが、事前に入国目的やパスポートナンバー、入国方法などを登録し、入国審査まで行っておくことが求められています。すべて英語、なのでそれなりに面倒なのと本当にこの解釈で良いのか?という設問もあったりするので、ちょっとストレスフルではあります。
他方、入国時の税関審査やニュージーランド航空のチェックインもオンライン上で対応できるので、これらをすべて空港到着前に完結しておくと空港でのチェックインに並ぶことがほぼなくなる、という優れものでもあります。
ただ、今回うちの場合はそうもいかず…。
息子さんの名前だけ姓・名がひっくり返っていた!
前日深夜に、チェックインを済ませておこうと入力を始めたところ、何度もエラーメッセージが。。何故だ、と良くe-ticketを眺めていたところ息子さんの名前だけ姓に名前が入っている…、その瞬間顔が青ざめ、とりあえずニュージーランド航空に電話するものの24時間対応という割にはつながらず…。原則的に「名前が異なる場合には搭乗できない」との記載もあること、今回は異なりますがANAやJALは基本的に搭乗させないという情報もあり、かなり落ち込みながら成田空港へ。
結論としては、、、搭乗できた!
かなりブルーな気持ちで、成田のカウンターオープンを待つ渡邉家。。本来ならばオンラインチェックイン+スターアライアンスゴールドメンバーでサクッと出国、という予定がもっとも原始的かつ時間のかかる方法、かつこの時点では搭乗券がもらえる保証もなく、、。
結論としては、「単純にひっくり返っているだけだったら大丈夫です。ご安心ください、名前が間違っているとちょっと厄介なんですが。」とのチェックインカウンターのお姉さんの言葉で、だいぶ救われました。
チケットの名前を変更するには、専用PCでの操作が必要だそうで、そのPCに設定されているパスコードを知っているのは上席社員のみとのこと。なので、時間はかかるけれど早めにくれば問題ないとのこと。ただ、ここで変更できるのは成田→オークランドのみなので、後は都度都度説明して欲しいとのことでした。
そんなわけで、最初からトラブルだったニュージーランド旅行でしたが、最初の関門は何とか通過。
ニュージーランド入国は税関申告をオンライン対応しておく+食品類を写真に撮っておくと、秒速で終わる
入国時の税関審査ですが、事前に税関審査を済ませておくと秒速で終わります。ニュージーランド入国は特に動植物系の食物などの持込検査が厳しく、以前は全て手荷物(預け荷物含めて)すべて開いて説明がマスト、とされていました。
ただ、今回に関しては事前に税関審査を済ませておいたこと、中に入れていた食べ物類の写真を妻がすべて写真にとっておいてくれたこと(その写真も、煎餅やみそ汁・ご飯などのレトルト類)によって、あっけなく終了しました。
このあたりは、事前に引っ掛かりそうな物品を写真で説明できるようにしておくことで、だいぶ時間短縮を図ることができそうです。
ニュージーランド入国後
ニュージーランドはクレジットカード天国、ほぼ電子決済で終わる
為替が急激な円安・NZドル高になっていることもあり、日本円で約2万円ほどしか両替しませんでした。しかし、結論としては20ドルも現金は使っていないまま旅を終えようとしてます。
ニュージーランドは、かなりのクレジットカード天国。クレカが使えないお店はほとんど見かけませんでした。あるとすれば(これはどこの国でもありそうですが…)Amexが使えない問題ぐらいかなと。
個人店含めて基本的にカードリーダ有、バスや鉄道はAt Hopカードという日本でいうSuicaのようなデポジット制のカードで概ねすべての交通機関が乗車可能です。バスの乗り方も乗車・降車のときにタッチするというシステムなので、慣れてしまえば日本と変わらないかなと。
逆に言えば、旅行中のカード利用が溜まっていくので翌月のカード請求が少し怖いなと。そこだけが目下気になっております。
Uberがかなり使える。すぐにつかまる頼もしい存在、ただドライバーは殆ど移民。このあたりの功罪は改めて書き記したい。
ニュージーランドは、都市部ではバス交通が多少あるものの日本以上の圧倒的な車社会の印象です。なので、ちょっとした観光地巡りをするにあたってもレンタカーが必須、という地域でもあります。
今回は、経済首都のオークランドとロトルア(ニュージーランド北島にある温泉が湧く街、周辺に緑あふれる森林があり、マオリ文化が色濃く残るところ。今回はマオリ文化と軽いトレッキング目当てに往訪しました)の2都市を探訪したのですが、とくにロトルアはオークランドからプロペラ機が1日2便しか飛ばないような小さい町で、しかもオークランドを夕方に出る便よりも前に空港バスは終わっているという状況でした。
しかしロトルア空港、なんとUber専用の駐車スペースが確保されており、ターミナルでUberを開いたら5分以内に空港まで来てくれるという!
この後、ロトルアとオークランドの二都市でUberを活用しましたが、事前予約することなくいつも5分以内には来てくれるという便利さでした。
日本でも、ライドシェアがいよいよ解禁されましたが、地方空港のエントランスにUber専用スペースができるのはいつのことか。このあたりに、国民性を少し感じます。
ただ地域のタクシー会社からすれば、これ以上の脅威はないとも思います。5分以内に駆けつけてくれるということはひっくり返せば、それだけの人たちがUberで生計を立てているということにもなり、必ずしもメリットだけがあるわけでもなさそうではあります。
実際のところ、ドライバーは殆どインド系か中華系の移民と思われる人たち。生粋のニュージーランド人ドライバーは全く見かけませんでした。どらバーの中には、日頃はタクシー運転手をしていて、パートタイムジョブとしてUberをしているという方も。
このあたり、移民が言語能力やコネを使わずに従事できる仕事としてUberが位置付けられている気もします。それが良いのかどうなのか、もう少し深い論考が必要で、軽々にUberは便利だ!もっと導入すべきだ!とも言えないなぁと感じた次第です。
ただ、いち観光客からすると、これ以上ない便利さであることは事実で、今回の我が家の旅行に最も役立ってくれたITツールの一つであると思います。
ちなみに、車は中古のトヨタプリウスがメインで、日本時代のカーナビ設定が残ったまま走っているのもご愛敬。そういえば、ニュージーランドは車線が日本と同じ設定なので、右ハンドル車である日本車がかなりのシェアを占めているようでした。中古車市場は非常に活況なのかもしれません。
Googleは世界の交通事情をどれだけ網羅しているんだ??方角が時々ずれることを除いては、街歩きの友として最強に近い
ニュージーランド国内での街歩き、google mapでほとんどの用は足りてしまい、「まずエリアのマップを観光センターでもらう」というタスクにほとんど意味がなくなっていることが良く分かったのが一番の収穫だったかもしれません。
日本でもバスのダイヤから都営地下鉄の時刻表まで「良く知っているなぁgoogle先生は」と感じていましたが、ニュージーランドでもバス時刻表を良く把握していらっしゃったり、「ここの橋は今封鎖中」などローカルな情報も良く確認されていらっしゃるという、あげく店舗情報まで全て記憶されているのだから、もうこれは無視できない存在だなと。
わが社は、これまであまりgoogle business profileを更新していなかったのですが、これは完全にgoogleありきで旅行する時代になってきているのだなと実感した次第です。早く直さないと…汗。
為替と物価の議論を除くと、海外旅行の垣根はだいぶ下がっている、意識次第で言語ストレスも克服できると感じた
いま、ニュージーランドドルが1ドル約100円、思えば約10年前に旅行した時が約60円だったので1.5倍強に円安が進んでいることになります。物価も高くなっており、ペットボトルのコーラ(1.5リットル)が約4ドル、マックのセットは15ドル以上します。今回、我が家もキッチン付きのホテルを選択し、ほとんど外食せずにスーパーで食材を購入し、弁当を作って移動という旅のスタイルになりました。
これは歴史的な金利差によるものなので、直ぐに解決するものでもなさそうです。当方は為替にはあまり詳しくないですが、金利差がこれだけ大きくなってしまう、かつ日本の景況感的に金利を上げづらい状況であることを考慮すると、すぐには解決しない課題と感じています。
他方で、今回感じたのは”ITツールを上手く活用することで、旅の時短は飛躍的に高まる!”ということ。特に空港のチェックインから出入国手続きについては、コロナによる影響もあって飛躍的に効率化が図られている印象です。また、各観光施設も事前のeチケット購入によって行列に並ぶことなく入館できるように配慮されているなど、一定程度のITリテラシがあれば、かなり快適に旅をできる時代になったと感じました。
言葉の部分についても、あらゆる翻訳ツールが世の中に出回ってきていることを考慮するとあまり気にしなくても良いのかなと思いました。もっと言えば、喋れない・聞けないことに躊躇せず、そこから言葉を覚えれば良い、その気持ちが重要なんだなと。
これは、うちの息子の体験談ですが、彼は全く英語が喋れないにもかかわらず、今回の旅行では全く気後れすることもなく人の輪に突っ込んでいっていました。ロトルアで行った子供向け温泉プールでは、同じぐらいのオーストラリア人の男の子と気が合ったようで、言葉が全く分からない同士のはずなのにずっと一緒に遊んでいたり。
「鬼ごっこって英語で何というの?僕はあの子と鬼ごっこがしたいんだ!」というので、うーん、鬼ごっこって英語であるのか?と思いつつ、follow me!って言ってみたら?と適当に返したところ、「うん、言ってみる!」と勢いその子のところに行って、一緒に遊んでいました。
鬼ごっこにはなっていなかったような気もしますが、これこそが言葉の成長であり、僕が一番苦手な部分、それを彼はもう克服しているんだなと頼もしく感じた次第です。
ニュージーランドの複雑かつ独特な文化形成については、改めてきちんと理解したい
ニュージーランドの伝統文化と言えばマオリ、マオリと言えば「ハカ」と呼ばれる踊り(精神的な祈り、といったほうが適切かも)があります。ニュージーランドの人たちは、マオリの文化風習をとても大事にしていて、空港施設にはマオリ語が併記されており、オークランド博物館ではマオリ文化の説明ゾーンに一番多くのスペースが割り当てられていました。
マオリの非常に独特な飾りのデザイン、その自然風土とリンクした風習などについては、正直なところあまり理解ができているわけではないです。ただ、この国の人たちは”そこに国家としての起源を求めている”のかなと強く感じます。
他方で、先住民であるマオリの人たちを植民国家であるニュージーランドがどのように扱ってきたのか?というのも少し気になりました。このあたりは軽々に語るところでもなさそうな気がしており、改めて少し調べてみたいなと感じた次第です。
ただ、誤解なく言えば、現在のニュージーランドにとってマオリ文化は非常に大切にするべき伝統的なものとして扱われている、そこは強く感じた次第です。
そしてニュージーランドの観光まちづくり
オークランドは建設ラッシュ、とくに再開発エリアの勢いがすごい、、おしゃれマンションだらけ。
ニュージーランドの経済首都、オークランドの湾岸部は再開発ラッシュが進んでいます。特に、湾岸部のBritomat駅から西側のエリアは、元々倉庫街だったところを低層に店舗、ホテル・マンション、そしてオフィスの複合用途からなる建物に建て替えしている最中でした。
再開発ビルには、KPMGやデロイト、EY、PwCの4大ファームがビルに看板まで付けて存在感を誇示し、その近くにマイクロソフトやANZなどITや金融機関も集積しています。日本でいえば、大手町界隈の雰囲気に似ていますが、東京と異なるのは、観光客向けのショッピングモールや住宅・ホテルがかなりの容積を占めている点でしょうか。
ホテルについても、パークハイアットやヒルトン、インターコンチネンタルなどのハイブランドホテルが集積しており、恐らく意図的だと思いますが高級ホテル立地に力を入れていたのではないかなと感じます。
目の前のヨットハーバーには、一体いくらするんだ?というような高級クルーザーが何隻も横付けされており、ここが富裕層に好まれる街であることを印象付けます。
高層ビルといっても日本ほどの高層感はないこと、ウォーカブルに配慮した都市デザインがなされていることで、非常に歩いていて楽しい印象を感じました。
目の前が海で、離島へ向かうフェリーが往来していることもあり、観光客が集まりやすい立地であることに加えて、そぞろ歩きしやすい動線設計になっていることが人を惹きつける魅力になっている気がしました。
一番気になったのは、マンション開発です。
ぱっと見ても、明らかに高い仕様で作られているマンション群が街区単位で建設されており、今後もさらに建築中のものが散見されました。これらの金額感や取引cap感については改めて調査してみたいと思いますが、それなりの価格感になっていると思われます。
オークランド自体は、公園や動物園も多く、また少し離れれば戸建住宅が広がる町ではありますが、それほど住宅素地が多く残っている印象は感じませんでした。となると、移民が増えれば増えるほど価格高騰は進むはずで、一般的なオークランド庶民が購入可能な金額を超えていく、そんな気がします。(このあたりは改めて調べてみたい)
曖昧な記憶ですが、オークランドの不動産はニュージーランド国民若しくは居住する権利を保持していなければ取得できないようになっていたはずで、今後日本でもこういった取得制限の議論は出てくると思います。
魅力的な都市であればあるほど、人気投票的に地価が上昇していくのはマーケット原理からすると当然ではあるのですが、それを地域住民が享受しづらいという点に課題があると思います。
産業としての観光をどうとらえるか?
ニュージーランドにとって観光は一大産業です。今回の旅でも、それを非常に強く感じました。いくつか観光ツアーに参加しましたが、半日のトレッキングツアー(といっても行き帰りの車と、森林エリアの入場券が入っているもの)で一人10,000円強します。決して安くはありません。
ただ、その分、その森林エリアは非常に良好に管理されていることが一目でわかるほど、良く整備されており、また管理している人たちも非常にフレンドリーで自分たちの仕事を楽しんでいることが良く分かりました。
それなりの対価を受け取っている分、良いサービスを提供する、観光地として地域のことを正しく理解してもらい、そして心に残る体験を与える、そういった精神を強く感じた次第です。
ともすれば、「こんな金額を取ってよいのか?」という議論が巻き起こりそうですが、こちらでは観光によって地域経済が成立しているという現実を働いている人たち自身が認識している、と思われます。
「観光か、それとも地域の生活か」ではなく、「地域の生活のための観光」としてのスタイルを確立している、そこには長い観光まちづくりとしての実践があったうえでの成果なのかなと思います。
とりあえず、思ったことをつらつらと。
改めて、少し整理して論考するとともに、日本の観光まちづくりにも応用できそうな部分、すこし深堀したいなと思いました!
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