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人生の後半、役にたつかたたないかを基準に学問を考えたい。

人生も折り返し地点を過ぎ、これからの時間をどのように過ごそうかと考えるようになりました。そこで、以前から興味のあった学問の学び直しを始めることにいたしました。全く新しい分野に挑戦するのも良いのですが、今回は、過去に自分が学んだ学問を改めて見直してみようと考えています。
独学で学び直すにあたり、私なりに一つの基準を設けたいと思っています。それは、「これからの人生において、本当に役に立つかどうか」という視点です。ここで言う「役に立つ」とは、必ずしも仕事やビジネスに直結することだけではありません。日々の生活の中で心を豊かにしてくれるもの、過去の自分と未来の自分を繋いでくれるようなもの、そういった有益で有用な部分があるかどうかが重要なのです。
世間一般では「役に立たない」と言われることの多い人文系の学問にも、実は社会で応用できる要素はたくさんあります。例えば、ヘーゲルの「アウフヘーベン」という概念は、対立する意見を統合し、より高次元の概念を生み出すという弁証法の考え方ですが、これは現代社会における多様な価値観の共存や、組織における合意形成などに活かせるのではないでしょうか。また、ヤスパースの「実存的交わり」という概念は、他者との真摯な対話を通じて自己を深く認識するというものですが、これは人間関係の構築やコミュニケーション能力の向上に役立つと考えられます。
逆に、社会問題に関連する学問であっても、現実社会で全く役に立たないのではないかと思えるようなものもあります。例えば、法律学を学ぶ目的が、「いかに自分にとって有利になるか」、「商法を、ビジネスにおける競争や駆け引きにどう利用するか」、「刑法を、法に触れないぎりぎりのラインを見極めるために使うか」、「労働法を、ブラック企業やモンスター社員に対抗する武器として使うか」といった、という視点は法律を生かす上で当然とおもいますが、そこからかけ離れて、法律とはこうなければならないという理念のみを押し付けるのでは、単なるイデオロギー闘争、あるいは言葉遊びに過ぎなくなってしまうのではないでしょうか。本来、法律は社会の秩序を維持し、人々を守るためのものであり、イデオロギーの道具ではありません。
私が大学で学んだ時代と、今、改めて学問を見つめ直そうとしている現在とでは、学問に対する考え方が大きく異なっていると感じます。大学時代は、アルバイトを通して社会との繋がりを持つ程度で、社会全体との接点は今ほど深くはありませんでした。そのため、学問を純粋に知識として捉えていた部分があったと思います。しかし、実際に数十年間社会で生きてきた経験を踏まえると、学問というものを改めて見直す必要性を強く感じます。社会経験を通して得た視点から学問を捉え直すことで、今まで見えてこなかった新たな発見や学びがあるのではないかと期待しています。
これからの学びを通して、過去の知識と現在の経験を融合させ、より豊かな人生を送ることができるように、じっくりと向き合っていきたいと思います。

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