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今も「良い品」を考慮して生き残って欲しかったダイエー帝国

若い頃は、ダイエーグループと中内功さんの勢いがすごかったですよね。スーパーから始まり、コンビニ、プロ野球チーム、ディスカウントストア、デパート、さらにはリクルートまで傘下におさめ、全国に大規模な店舗を展開するダイエーグループは、まさに流通業界の王者でした。今、ダイエーグループの痕跡が流通科学大学くらいしか残っていないなんて、本当に信じられません。
高度成長期に「良い品をどんどん安く」をモットーに、メーカー主導だった流通の決定権を売り手側が握ったのが、ダイエーの大きな転換期だったと思います。それまで売上高1位だった三越を抜き、ダイエーが売上高1位になったのは、ダイエーの姿勢が広く消費者から支持され、商品も魅力的だったからこそでしょう。
しかし、90年代に入ると、人々の価値観は変化し、贅沢志向が強まってきました。「良い品」という言葉の意味も、消費者にとって変わってきたように思います。ダイエーに行くくらいなら、専門店に行って自分の本当に好きなものを買おうという人が増え、ダイエーの大量仕入れや販売戦略が通用しなくなってしまったのです。消費者から支持を失ったダイエーは、次第に衰退の一途を辿り、中内さんは失意のうちに生涯を閉じることになりました。そして今、かつての天下を築いたダイエーは、消滅の危機に瀕しているのです。
「良い品をどんどん安く」という姿勢は、全く間違っていなかったと思います。むしろ、今の流通業界の礎を築いたと言えるでしょう。その点については、異論の余地はないと思います。しかし、いつまでも「良い品」や「どんどん」という言葉に固執し、その中身を具体的に考えなかったことが、ダイエーの衰退の一因になったのではないでしょうか。もし、その中身さえ変わっていれば、今もある程度の規模を維持して存続していたのではないかと、本当に残念でなりません。

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