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互いのキングは睨み合う/チェス
ポーンエンディング
エンドゲームの重要性
前回、私はいささか格好をつけたようにこう述べた。
"オープニングは華々しく、
されどチェスの本質はエンドゲームにこそあり。"
チェスに関するエンドゲームの考え方は、
非常に奥深い。
盤上にピースはほとんど存在しないのにもかかわらず、
そのテクニックは複雑なのだ。
まず私はこの簡素化された盤面における、
戦略について学習したことを記そうと思う。
ステイルメイト
私はエンドゲームを理解せずに挑んだ対局で、
何度も勝ちを逃してきた。
これはかなりの苦い体験である。
チェスにはステイルメイトというルールがある。
これは簡潔にいうところの”引き分け”であり、
自分の番になっても、
動かせるピースがひとつもない状態を指す。
![](https://assets.st-note.com/img/1714901753269-tKdbqhHvRf.png?width=1200)
こうなってしまっては、
いくら優勢局面であったとしても、
強制的に"引き分け"となってしまう。
だからこそ優勢なほうは確実に勝利するために、
劣勢なほうはミスを誘いステイルメイトにするために、
エンドゲームを学ぶのである。
エンドゲームのなかでも、
まず私が着手したのが、
キングとポーンだけが盤上に残された局面。
すなわち、ポーンエンディングである。
オポジション
オポジションの考え方
いかにして相手のキングを追い詰めるか――。
ポーンエンディングのなかでも、
いくつかの戦略が存在する。
そのなかでも私が今日取り上げるのが、
オポジションの考え方についてである。
![](https://assets.st-note.com/img/1714902107696-ZuFwCJjmJw.png?width=1200)
<第1図>のように、
互いのキングが真正面にあり、
睨み合っている状態がオポジションの位置である。
基本的にオポジションの位置を最初にとったほうが、
相手のキングを追い詰めていくことができる。
<第1図>では、
1.…Ke6 2.Kg5 Kf7 3.Kf5 Kg7 4.Ke6 Kf8 5.Kf6
一例としてこの手順で黒のキングを8ランクに押しやることができる。
ポーンが残った場合
ポーンが1つでも残った場合、
優勢側はそのポーンを昇格させてクイーンにすることで、
勝利を狙う。
<第2図>は、
白側がポーンを1つ得している盤面の例である。
![](https://assets.st-note.com/img/1714903321566-k1e6DmeHmx.png?width=1200)
ここでも重要な考え方はやはりオポジションである。
白はKf4としてオポジションの位置をとる。
その後は先ほどと同じ要領で、
白はオポジションを維持しつつ
相手のキングを押し上げていく。
1.Kf4 Kg6 2.Ke5 Kf7 3.Kf5
ここまでで<第3図>の盤面となる。
![](https://assets.st-note.com/img/1714903734789-saC4wVraRp.png?width=1200)
続いて、
3.…Ke7 4.Kg6 Ke6 5.f4
と指すことで、
黒のキングがポーンを狙う手を牽制することができる。
ここまでで<第4図>の局面である。
![](https://assets.st-note.com/img/1714904134635-3LP8DgX5ls.png?width=1200)
5.…Ke7 6.f5 Kf8 7.Kf6
これで再びオポジションの位置に入り込む。<第5図>
6手目の黒Kf8は、
白Kg7としてfラインを封鎖させないようにするためである。
![](https://assets.st-note.com/img/1714904527189-avFsVk8AZw.png?width=1200)
7.…Ke8 8.Kg7 Ke7
先述の通り、ここで白Kg7が実現するため、
fラインが完全に封鎖され、
黒のキングは白のポーンの昇格を防ぐことができない。
<第6図>
![](https://assets.st-note.com/img/1714904784023-oKVsRtm1Ud.png?width=1200)
これで、白はポーンをクイーンへ昇格することに成功し、
黒のキングをメイトすることが可能となる。
オポジションを利用した、
ポーンエンディングの一例である。
さいごに
オポジションはポーンエンディングを考えるうえで、
欠かせない戦略のひとつである。
しかし、オポジションを保持していたとしても、
ポーンの配置状況によっては、
黒がステイルメイトに持ち込むことができる場合もある。
<第7図>の場合は、互いに最善手を指した場合、
必ず引き分けになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1714905036813-ZirEaIaC6G.png?width=1200)
今回、考察している盤面は、
キングとポーン1つのみという非常にシンプルなものだが、
チェスのエンドゲームはこのように非常に奥深い。
"エンドゲームを制するものはチェスを制す"
といっても過言ではないのかもしれない。
―B.―