あやとり家族七十二〜とうとうこの日がやってきた〜
離婚を突きつけられる
今思うと、家に帰ってきてからの夫の様子は何か違っていた
「後で伝えたいことがある」
それだけ伝えられ
「何?今言ってよ」
言葉を濁してなかなか言わない
まさか、離婚を口にするとは予想もしていなかったから
しつこく聞きまくる
「そういうとこが嫌なんだよ!!!!!」
急に切れ始めた夫
離婚したかった本当の理由は
はっきり言って今でもわからない
突然切れて、大声で怒鳴られたことしか記憶にない
そういうとこっていう抽象的な言い方が、余計にわからなくさせる
そして、怒っている人に何を言っても無駄
怖くて言葉が出なかった
そして離婚届を持ってきて「これに書け」と一言
売り言葉に買い言葉
「そんなに離婚したいなら、その気持ちを大事にするよ」
怖くて逃げたくてしょうがなくて
殴り書きで書いた
ADHDの私は何も考えず突発的に相手に従って判断し書いてしまった
本当はきちんと話し合いたかった
翌日のことは全く記憶にない
ただただ呆然と、何をして良いのかわからない
離婚届を自分から取りに行っているのは本当に驚いた
それこそ、夫の本気度が伝わってくる
この頃夫の双子の兄は、彼女ではない相手と付き合って一緒にお店を開いていた
夫はよくその店に通っていた
きっとそこで知恵を得たのだろうと察した
私は一人でその店へ行くことにした
そうすると、店のお客さんも双子の兄もその彼女ではない女性も
みんな私たちが離婚になることを知っていた
「もうお互いに十分学んだんだよ、離れる時なんだよ」
と言われたり、全員が一塊となり私を離婚するように促しているようにしか感じなかった
そういうことか。
出会う人によって人は変わると思う
流されやすい夫は自分の意見に賛同してくれる兄と
また、兄は私のことをよく思っていなかったから
離したいと思ったのか、その方が夫のことを
また自分の手元に置いて置けるからなのか
妄想でしかないが、そういうふうに考えると合点がいく
突発的に家を出る
離婚届を書いてから数週間経った
私が次の住まいを決めるまでは居ていいとのことだった
しかし、夫と離婚した後同じ町にいれば田舎だからすぐに出会ってしまうこと
夫と別れた後、私がこの町にいる理由がないことから
住む場所が決められずにいた
ある休日のこと、突然不安に襲われどうすることもできなくなった
あの離婚届を書いてからも、嘘のように夫婦2人で生活していて
喧嘩もなく一緒にご飯を食べたり
このままでいいんじゃないかと思うくらい自然で
夫は私が離婚届を書いたから安堵して生活している
反対に私は、これからのこと、離婚の要因がわからないことで
不安でいっぱいになっていた
私の双子の姉に電話する
すぐに「こっちにおいで」と言われたが、
“まだ夫ときちんと話し合いが出来ていないから”と迷っていた
「大丈夫、ちゃんと話し合える時が来るから」
と言われて、何故かそういう日が来るんだと思い込み、言われるがまま荷物を全て持って家を出た
自分がないから、人の意見に左右される
本音は”話し合いたい”
だけどそれと同じくらい向き合うのが怖かった
だからただ逃げただけ
それから家には一度も帰ることはなかった