あやとり家族60〜結婚の条件〜
祖母が逝去した
結婚は一年遅らせることにした
もちろん結婚式も中止した
それでもこの場所を離れて新しい土地へ行くことだけは諦めなかった
結婚の条件
私は一度離婚していて、お金のことで揉めたくなかった
だから結婚はしないでパートナーとしていることを望んでいた
家に関する費用は全部折半
一人の人として自立していること、自立した人同士で暮らすというのが絶対条件だった
もちろん彼にそのことを伝えた
彼は「それでいいから結婚したい」と言ってきた
あまりの熱量に私は負け再婚という形をとった
今思えばこれがやはり間違いの元だった
自分が直感で感じていることは、ほぼ間違いないと自覚していたから
それを譲ってしまったことが今になっても後悔の原因になっている
やはりお金が原因で揉めることになる
彼は人当たりが良く、嫌われることがなかった
誰からも好かれユーモアがあり最高の理解者だった
家事もこなすし悪いところなんてどこにも見つからない
が、唯一問題だったのが仕事だ
飽きっぽく続かない、必ずパワハラに合う
毎回同じようなことを愚痴っている
結局は仕事を転々とするため、間が空いたときは当初約束した
”折半”の約束は守られなくなっていく
お金に対することで不安に思ってしまうのは
いつも母の愚痴を聞いていたからだ
お金のことばかり父に言う母
夜遅く仕事から帰ってくる父に対し
「ねえ、今月も足りないけどどうしたらいいのよ!」
「今帰ってきたばかりなんだから待ってくれよ、わかってるよ」
この会話を何百回と聞いている私
これが当たり前なんだと学んだ
だからジンに対しても同じことをしてしまっていた
帰ってくるなり
「ねえ、先月分から足りてないけどいつ払えるの?私立て替えているんだけど」
っと言うような感じだった
言い方も母にそっくりだ、自分で自分のことが嫌になり自己嫌悪になる
このことに気がついたのはごく最近のこと
自分でもどうして良いのかわからない
考え方が、もうそうなってしまっている
それでもジンは何も言わずに頑張っていた
何も言わなかったのではなく、言えなかったんだ
元々自分の意見は我慢して溜めてから言うタイプ
その温存期間だったんだな
レンが同じ街に引っ越してきた!
なぜかレンが引っ越してきた
折角離れたのに!なんでまたついてくるんだよって内心思っていた
至極当たり前のように、ジンのところにやってきては誘い出し外へ連れ出す
初めのうちは良かったが、ジンもどんどんレンのペースにはめられ
自分の思うような生活ができなくなっていくことに
イライラを募らせていっていた
それでも文句は本人には言えない、言うことを聞くしかない
その吐口は自ずと私へ向かう
私も堪えきれず、幾度となくレンと喧嘩をする
そしてジンが板挟みになる
結局、住む場所が変わっても元に戻るだけだった
ジンはレンのペースにはまる
元々そうだったけど、悪いことはレンがジンに教える
飲み歩いては朝帰り、仕事に行けない
私への借金は増え続ける
だから私が家のお金を全て払う
借金というものが本当に嫌いで、これも母が私に植え付けた考え方の一つ
そうなるとジンを責めるようになる
こんなことが続けば悪循環になっていることはお互いに気づき始める
そんなときだった
様子がおかしいと思ったのは。