見出し画像

思春期のとき、生理で失敗した話

  生理で失敗したときの話を書きます。
  女性だけでなく、整理の経験がない男性も読んでください。
  生理があると、こんな体験をするよということを知ってほしいです。

  中学2年生のときだ。少し前に迎えたばかりの生理に、私はまだ慣れていなかった。

  立ち上がるたびにドロッとながれる経血の感触、鈍いお腹の痛み、なんとなくの倦怠感など、なれない刺激ばかりだ。

  ナプキンを替える頻度もよくつかめない。基本的には、トイレに行くたびに替えればいいのだが、経血の量が多いせいで、催していなくても、休み時間のたびにナプキンを替えなくては、経血が漏れてしまいそうな時期だった。

 そんなときに、体育の着替えと移動教室のタイミングが重なって、トイレに行く余裕がなくなってしまった。

 遅刻するのはいけないので、仕方がなく、下着を気にしつつ授業を受ける。

  パソコンを使う情報系の授業だった。しばらく授業を受けていたが、プリントを受け取るために立ち上がったとき、赤いシミが目に入った。

  やっぱり失敗してしまった。ナプキンが限界だったんだ。どうしようと一瞬あせる。

  幸い制服が紺色のプリーツスカートだったため、スカートの方のシミは、ほとんど目立たない。
  しかし、コンピュータ室の回転チェアーのクッション部分に、経血がしっかり染み込んでしまっていた。

  回転チェアーの事態に息を飲むが、これ以上被害を広げないようナプキンを取り替えるのが先だ。
   回転チェアーをさりげなくデスクに収め、先生にトイレへ行く許可をとる。

   その際、隣に座っていたクラスメイトに、赤く染まった回転チェアーを、チラッと見られたのだが、そこで騒ぎ出すような子ではなかったので、ほっとした。

  トイレから授業に戻り、ひとまず経血漏れは防止したが、汚した回転チェアーのことはどうしようと悩んだ。

  授業中に先生に言おうものなら、クラス中の注目を集めて、私が経血を漏らしたということが広まってしまうだろう。そうなったら、たぶん恥ずかしい。
   だから、おとなしく授業が終わるのを待った。

  授業が終わったあと、先生に回転チェアーを汚してしまったことを、知らせるべきかまた悩む。
  コンピュータ室に他の生徒が、いなくなるまで待つのも不自然だし、なにより相手が中高年の男性教諭だったため、言い出しにくかったのだ。
  情報系の先生とのかかわりは、ほとんどないのでどんな人なのかもよく分からない。

  備品を汚したことを怒るのか、女性のことなので、どうしたらいいか分からず戸惑うのか、いずれの場合も、あまりいい結果にならなそうだと思った。

  けっきょく、授業内では言えず、教室に戻ってから仲のいいクラスメイト2人に相談した。
「汚しちゃいましたって言った方がいいかな」と私が言うと、2人ともほおっておいた方がいいという意見だった。

  2人も私が想像したようなことを考えたのだろう。中高年の男性に、生理の失敗を見せてもお互い気まずいだけだろうと言う話でまとまった。

  その日の放課後、情報の先生を見かけた。手に布巾と洗剤のようなものをもっていた。あの回転チェアーを掃除するつもりなのだろうか。
  後ろめたく思いながらも、先生を見送る。

  翌週の情報の授業では、回転チェアーが綺麗になっていた。あのときのシミが完全に落ちるとは思えないから、きっと新しいものなのだと思った。

  座席は決められているから、回転チェアーを汚した犯人を探そうと思えば、探せるだろうが、先生から何も言われなかった。先生なりの気づかいだったのだろうか。


  大人になって、月経困難症のため、ピルで生理をコントロールするようになってからは 、生理での大きな失敗はないが、それでも時々下着や布団を汚してしまったり、トイレに行くタイミングがなくてナプキンが心配になったりすることはある。

  大人になっても、自分の身体を管理するのはなかなか難しいようだ。

 中学2年生だったあの時、どうするのが正解だったのか、いまだに分からない。

  異性の先生であっても、身体のことを相談できるのが理想的かもしれないが、なかなか難しいと思う。

  でも、性別で分断せず、その性特有の体験を共有することができれば、お互いの理解の助けになるだろう。

  性別関係なく、生理でピンチな人がいるときは、どうか助けてあげてほしい。

いいなと思ったら応援しよう!